太田母斑のレーザー治療ってどんなもの?あざ消しの名医が詳しく解説
「青っぽいアザが生まれつきある」「淡い褐色の色素斑が気になる」など、消えないアザやシミに悩まされている人は少なくありません。
怪我をしたわけではないのに、青あざが気になるようであれば「太田母斑」の疑いがあります。
本記事では太田母斑の特徴や症状、具体的な治療法について解説します。
さらに詳しい内容が気になる方や治療にかかる費用について知りたい方は、この機会にぜひ皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷までご相談ください。
太田母斑とは
太田母斑は、紫外線の影響によって発生する茶色っぽいシミとは違い、青紫色や青みがかった灰紫色をしているのが特徴的です。
通常のシミよりも深い部分に存在するため、青アザの一種とされています。
発生する主な原因は、メラノサイトの増殖です。
メラニンが過剰に増加することで、太田母斑を発症します。
遺伝子の異常や内分泌環境が影響するといった説もあり、根本的な原因は多岐にわたります。
太田母斑とADMの違い
太田母斑と似た症状の1つとして挙げられるのが、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)です。
どちらも青アザの一種として知られますが、2つの大きな違いは症状が発症するタイミングです。
太田母斑は生後半年以内に発生する可能性がある一方で、ADMは20代で発症するケースが多く見られます。
また、太田母斑は額や目の下に症状が現れやすい青あざです。頬骨付近に発生率が高いADMとは、色素斑の見られる部位が異なります。
他にもいくつかの特徴が異なるため、太田母斑とADMの区別がつきづらい場合は、クリニックで医師の診断を仰ぐのがおすすめです。
太田母斑の特徴・症状
太田母斑には、以下の特徴があります。
では詳しい内容について、さっそく見ていきましょう。
「早発型」と「遅発型」がある
太田母斑には、生後半年以内に症状が発生する「早発型」と、思春期を過ぎた20代以降に症状が発生する「遅発型」があります。
いずれも額や目の周りに発生するケースが多く、顔の片側に目立つのが特徴的です。
なお小児が太田母斑と診断された場合でも、現在は保険適用で安全に治療が行えるようになっています。
成人よりも少ない回数で治療効果が期待できるのも、大きな特徴の1つに挙げられるでしょう。
青紫〜灰紫青色の色素斑が見られる
太田母斑の症状は、青紫〜灰紫青色の色素斑です。転んだ際などに発生する打撲のあざと、見た目がよく似ています。
一般的な日焼けによるシミと色味が異なる理由は、真皮層にメラノサイトが集まるからです。
肌の表面から距離があるため、青あざとして色味が現れます。
ちなみに日本人が太田母斑を発症する確率は、0.1〜0.2%です。男性よりも女性に多く見られる傾向があります。
太田母斑の治療にはQプラスRスイッチレーザーが有効
太田母斑の治療には、「Qスイッチレーザー」と呼ばれるレーザーを使用します。
肌の深い部分にある真皮までレーザーを届けるためには、ある程度の波長の長さが必要です。
Qスイッチレーザーは波長が長いため、深い層にまでレーザーが当てられます。
さらに、従来のQスイッチルビーレーザーを進化させたのが「QプラスRスイッチレーザー」です。
実際に、臨床実験で35人が4、5回のレーザー治療を行い33人にあざが薄くなるという有効な治療結果も出ています。
Shinichi Watanabe and Hisashi Takahashi“Treatment of Nevus of Ota with the Q-Switched Ruby Lasera”( The New England Jornal of medicine VOL. 331 NO. 26 December 29, 1994)
Results
Of the 35 patients who received four or five treatments, 33 had an excellent response (lightening of 70 percent or more), and 2 had a good response (lightening of 40 to 69 percent). Of the 31 patients who received three treatments, 4 had an excellent response, 26 a good response, and 1 a fair response (lightening of 10 to 39 percent). Of the 25 patients who received two treatments, 2 had an excellent response, 16 a good response, and 7 a fair response. Of the 23 patients who received one treatment, 3 had a good response, 13 a fair response, and 7 no response (lightening of 9 percent or less). No patient had hypertrophic or atrophic scarring; eight patients had postinflammatory hyperpigmentation for up to two months after the first treatment.
Conclusions
Selective photothermolysis with the Q-switched ruby laser is a safe and effective method for lightening nevi of Ota. Multiple treatments increase the response rate.
QプラスRスイッチレーザーは、1秒間に繰り返し3回照射が可能な「3Hz」に改良されているのが特徴的です。
従来までのQスイッチルビーレーザーよりも、効率の良い太田母斑の治療が実現します。
QプラスRスイッチレーザーで治療可能なメカニズム
QプラスRスイッチレーザーは、皮膚や血管に大きなダメージを与えません。なぜなら真皮層のメラニン色素のみを直接狙うからです。
これまでのレーザーを使ったシミやアザの治療では、赤血球内の酸化ヘモグロビンに影響を与えるリスクがありました。
色素沈着を引き起こす可能性も完全には否定できませんが、QプラスRスイッチレーザーの波長は酸化ヘモグロビンに吸収される心配がほとんどありません。
したがって、リスクを最小限に抑えた太田母斑の治療が実現します。
QプラスRスイッチレーザーで改善するまでの治療回数
QプラスRスイッチレーザーを用いた太田母斑の治療では、3ヶ月ほどの期間を空けて2〜5回程度のレーザー照射が必要です。
もちろん効果の出方には個人差があるため、状態を確認しながら治療を継続します。
ただし保険適用のQプラスRスイッチレーザー治療では、同一部位の治療は5回までといった回数制限が設けられていることを覚えておきましょう。
5回を超える治療が必要になった場合は、自由診療に切り替わります。
QプラスRスイッチレーザーの痛み・ダウンタイム
痛みの感じ方には個人差がありますが、QプラスRスイッチレーザーの痛みは輪ゴムで弾かれたような瞬発的な痛みです。
痛みに不安や恐怖心が大きい場合は、麻酔クリームやテープを使用できる場合もあります。
また、レーザー治療のダウンタイムは、2週間程度になります。一時的に色が濃くなり、かさぶたになってから剥がれるケースが多いでしょう。
紫外線などの影響を避けるためにも、テープで保護するのがおすすめです。
【まとめ】太田母斑にお悩みの方は皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷へご相談を
太田母斑は、レーザーによる治療が可能な疾患です。
放置していても自然消滅する疾患ではないため、正しい診断と適切な治療が推奨されます。
また太田母斑は、ADMなどと区別が難しい皮膚疾患です。自己判断はリスクが高いため、青あざでお悩みの方は皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷へぜひご相談ください。
記事監修者プロフィール
院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
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- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
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- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医