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生まれつき赤あざができるのはなぜ?原因や治療法・治療費用・保険適応について解説

赤あざは生まれつきみられるものと、生まれてから症状が現れるものに分かれます。そんな赤あざですが、「生まれつき赤あざができるのはなぜだろう」「原因や治療法を知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、生まれつき赤あざができるのはなぜかを解説します。また、原因や治療法・治療費用・保険適用の可否も併せて紹介します。

この記事を読めば、生まれつきの赤あざについて理解できるので、赤あざの治療方法を知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

赤あざとは

赤あざは、皮膚の血管が異常に拡張または増殖することで発生します。赤い色調のあざが生まれつき現れることが多く、顔や首、体のさまざまな部位に見られるのが特徴です。

赤あざの種類によって、形状や色味が異なり、成長とともに薄くなるか否かが異なります。一部の赤あざは健康上の問題を引き起こす可能性があるため、心配な場合は早期の診断と適切な治療が推奨されます。

赤あざは目立つ部位にできることもあるため、治療についても検討しておくことが重要です。赤あざの種類や状態に応じて治療法は異なるため、専門医による診察を受けることをおすすめします。

生まれつきの赤あざの原因①サーモンパッチ

サーモンパッチは、生まれつき皮膚に現れる薄いピンク色から赤色の平らなあざです。ここからは、サーモンパッチの特徴や原因・治療方法を解説します。

特徴

サーモンパッチの多くは、顔や後頭部、首の後ろなど、目立つ部位に見られます。「天使のキス」や「コウノトリのあざ」と呼ばれることもあり、新生児のおよそ30~40%に見られる一般的なあざの1つです。

サーモンパッチは、赤ちゃんの肌が薄いことにより、血管が透けてみえることで現れます。体温の上昇や泣いたときなどに一時的に色が濃くなることがありますが、痛みやかゆみなどは伴わないのが特徴です。

まぶたのあざは成長とともに薄くなり、2~3歳頃までに消えることが多いですが、額や首の後ろにできたあざは、成人しても残る可能性があります。

原因

サーモンパッチの主な原因は、皮膚表面近くの毛細血管が拡張することです。毛細血管の拡張は、胎児期に形成される血管の成長過程で発生する現象であり、特別な病気や遺伝的要因によるものではありません。

ただし、遺伝的な要素は関連があると考えられています。最近は、家族内で似た特徴のあざが見られる方がいることもあり、多少の遺伝的影響があると考えられています。

治療方法

サーモンパッチは、顔など目立つ部位にできることから、治療を検討するのがおすすめです。治療には血管を収縮させ、赤みを軽減するダイレーザー(Vビーム)が選択されます。血管にのみ作用するため、周囲への影響はほとんどありません。そのため、安全性が高く、ダウンタイムが少ない治療法として広く利用されています。

また、照射時には皮膚の表面を冷却しながら行うため、治療中の痛みや施術後の赤み・腫れを最小限に抑えられるのも特徴です。血管性のあざや赤みを伴う皮膚疾患に効果的なレーザーのため、複数回の治療でサーモンパッチの改善が期待できます。

ダイレーザー(Vビーム)は毛細血管に直接作用して赤みを軽減し、肌の色調を均一に整えるのに役立ちます。治療は複数回にわたって行われることが一般的ですが、副作用は少なく、安全性が高い治療なのが特徴です。

生まれつきの赤あざの原因②ウンナ母斑

生まれつきの赤あざに、ウンナ母斑があります。ここからは、ウンナ母斑の特徴や原因・治療方法を解説します。

特徴

ウンナ母斑は、首の後ろや頭部にできる赤い平らなあざで、新生児の約半数に見られるといわれています。「コウノトリのあざ」とも呼ばれ、サーモンパッチに似た外見を持っていますが、首の後ろに集中して現れるのが特徴です。

ウンナ母斑はほとんどの場合、成長とともに目立たなくなるため、自然治癒が期待できるあざとなっています。

原因

ウンナ母斑は、胎児期に血管が形成されますが、生まれた後も拡張したままの状態が続くことで発生します。血管の拡張による赤いあざは、皮膚の薄い新生児特有のものであり、特別な病気や外的要因が関与しているわけではありません。

遺伝的な要素が影響することもありますが、主に一過性の症状とされています。

治療方法

ウンナ母斑は成長とともに薄くなり、ほとんどは思春期までには自然に消失します。そのため、基本的には治療の必要はありませんが、成長後も残る場合には、血管に特化したダイレーザー(Vビーム)が選ばれます。

しかし、ウンナ母斑は自然に消える可能性があるため、定期的に医師に状態を確認してもらうことが重要です。

生まれつきの赤あざの原因③単純性血管腫(ポートワイン母斑)

単純性血管腫は、生まれつき皮膚に現れる赤紫色の平らなあざです。顔や首、手足に見られることが多く、成長とともに濃くなる傾向にあります。

ここからは、単純性血管腫の特徴や原因・治療方法を解説します。

特徴

単純性血管腫は、皮膚に広がる赤紫色の平らなあざで、面積や色の濃さには個人差があります。乳児期に見られることが多く、初めは薄いピンク色から始まり、成長とともに徐々に濃くなったり、赤紫色に変化したりするのが特徴です。

主に、顔・首・手足などの目立つ部位にできることが多い傾向にあります。単純性血管腫は血管の異常によるあざのため、触っても痛みやかゆみは伴いません。ただし、長期間放置すると皮膚の肥厚や色の濃化が進む可能性があるため、早期治療が推奨されます。

原因

単純性血管腫の主な原因は、皮膚の毛細血管が拡張し、血液が溜まることで生じます。拡張は胎児期の血管形成異常によるもので、遺伝的要因が関係している場合もあります。

ただし、遺伝が直接的な原因となることは少なく、多くの場合は偶発的に発生するのが特徴です。

治療方法

単純性血管腫は、ダイレーザー(Vビーム)治療を行うのが一般的です。ダイレーザー(Vビーム)は、毛細血管に特化したレーザーで、赤紫色の色素を減少させる効果が期待できます。早期に治療を開始するほど効果が高く、子どものうちに治療を行うことで目立たなくなる可能性が高まります。

乳児期から治療を開始すると効果を実感しやすいことから、治療を検討するのがおすすめです。皮膚の肥厚や凹凸を防ぐためにも、早期に治療を開始しましょう。保険適用の範囲内で治療が可能な場合もあるため、医師に相談するのがおすすめです。

ただし、レーザー治療で効果がない場合、大きなあざを部分的に切除することがあります。

生まれつきの赤あざは自然に消えないのが特徴

生まれつきの赤あざは、自然に消えることがほとんどありません。サーモンパッチやウンナ母斑など、一部の赤あざは成長とともに薄くなる場合がありますが、単純性血管腫やいちご状血管腫などは放置すると色が濃くなり、皮膚が肥厚することがあります。

目立つ部位に赤あざがある場合、美容的な悩みや心理的な影響が出る可能性があるため、早期に治療を検討することが推奨されます。若いうちに治療を開始することで、色素の除去が進みやすくなるため、早期に治療を開始するのが効果的です。

赤あざは見た目だけの問題と捉えられがちですが、一部の赤あざは健康問題と関連する場合もあります。「スタージ・ウェーバー症候群」「クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」などの疾患を伴う可能性があるため、適切な診断とケアが必要です。

あざが目立つ場合や広がる傾向がある場合は、早めに皮膚科または形成外科を受診し、医師の指導のもとで治療を進めることが重要です。

新生児にみられる赤あざにも注意しよう

赤あざは、生まれつきみられるものだけではなく、生まれてから現れてくることもあります。新生児にみられる赤あざは、としていちご状血管腫が挙げられます。

いちご状血管腫は乳児期に見られる赤い盛り上がったあざで、いちごのような外見をしています。生後約2週間から現れ、生後5ヶ月までに急速に大きくなることが特徴です。あざは通常、5~10歳頃には自然に縮小し、消失する場合が多いですが、一部では痕が残ることがあります。

いちご状血管腫は、皮膚下の血管の壁が異常に増殖することが原因です。特に、早産児や低体重で生まれた赤ちゃんに多く見られます。

生まれつきの赤あざの治療費用

赤あざの治療費用は、あざの種類や治療法、保険適用の有無によって異なります。保険が適用される場合、治療費は大幅に軽減できますが、全額自己負担となるのが一般的です。

赤あざに有効なダイレーザー(Vビーム)治療は、1回あたり数万円が目安です。複数回の施術が必要になることも多く、重度の赤あざや広範囲にわたる場合は治療回数が増えるため、自費治療では費用が高額になる傾向にあります。

医療費控除や公的補助が利用できる場合もあるため、詳細は医療機関で確認しましょう。

生まれつきの赤あざに関するよくある質問

最後に、生まれつきの赤あざに関するよくある質問に回答します。

生まれつきの赤あざは遺伝ですか?

赤あざは基本的に、遺伝とは無関係であることがほとんどです。赤あざの多くは胎児期の血管形成の異常によって発生しますが、家族歴がなくても発生することがあります。

ただし、一部の赤あざは遺伝性疾患や、遺伝的背景が関与している可能性があるため注意が必要です。「スタージ・ウェーバー症候群」では、ポートワイン母斑が現れることがあります。

家族に似た症状が複数見られる場合や、赤あざに伴う他の健康上の問題が懸念される場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。

生まれつきの赤あざに関する治療は保険適用になりますか?

赤あざの治療は、健康や生活に支障をきたす場合には保険適用となるケースが多い傾向にあります。単純性血管腫やいちご状血管腫は、保険が適用される代表的な例です。

具体的な適用条件は、治療内容や症状の重さによって異なるため、医療機関で事前に確認することが大切です。また、保険適用でも、治療にかかる一部費用が自己負担となる場合があるため、医師としっかり相談するのが良いでしょう。

生まれつきの赤ちゃんに赤あざがみられる確率はどれくらいですか?

新生児の約0.3%〜1%に赤あざがみられるとされています。単純性血管腫やいちご状血管腫は、新生児に比較的多く見られる赤あざの代表例です。多くの場合、早期に適切な診断を受けることで、治療や経過観察の方針が決定されます。

赤ちゃんに赤あざが見られて、時間が経っても消えない場合は、早めに専門医を受診するのが良いでしょう。

まとめ

この記事では、生まれつきの赤あざの原因や治療費用について解説しました。

生まれつきの赤あざは、血管の異常により発生する皮膚の特徴で、サーモンパッチ・ウンナ母斑・ポートワイン母斑の3つに分類されます。多くの場合は、自然に消えることはなく、適切な治療が必要です。

また、生まれた後に赤あざがみられることもあります。新生児に見られる赤あざの代表例は、いちご状血管腫や毛細血管拡張症です。

治療法としては、ダイレーザー(Vビーム)が一般的で、あざの種類や範囲に応じて治療回数や費用が異なります。

この記事を参考に、赤あざの種類や特徴を把握し、医療機関を受診した方が良いか否かを判断しましょう。

 

記事監修者プロフィール

院長 杉本 貴子

院長杉本 貴子

Sugimoto Atsuko

経歴
  • お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
  • 獨協医科大学 卒業
  • 国立国際医療研究センター 初期研修
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
  • 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長

【関連病院】

  • 東京美容医療クリニック
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
資格
  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
  • 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
  • アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
  • クールスカルプティング 認定医
こどものアザは保険適用で治療できます。

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