生まれつきのあざの原因は?赤・青・黒・茶色いあざの原因や消えない場合の対処法などを解説
生まれつきのあざは、顔やお尻・足など、さまざまな部位にみられることがあります。そんな生まれつきのあざですが、「なぜあざができるのか気になる」「生まれた時からみられるあざにはどのような種類があるのか知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、生まれつきのあざの原因を解説します。また、色別のあざの原因や消えない場合の対処法も併せて紹介します。
この記事を読めば、生まれつきのあざについて理解することができるので、子どものあざを消してあげたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
生まれつきのあざの種類
生まれつきのあざは、以下の4つに分類されます。
- 赤あざ
- 青あざ
- 黒あざ
- 茶色いあざ
赤ちゃんの頃からみられるあざは、自然に消えるものもあれば、治療や経過観察が必要なものもあります。あざの大きさや場所によっては家族だけではなく、子供自身も心理的な負担を抱える可能性があるため、各あざの特徴を把握しておくことが重要です。
生まれつきあざができる原因
生まれつきのあざができるのは、妊娠中の発育段階で血管が過剰に発達・拡張したり、皮膚の深層や表層にメラニン色素が沈着したりするのが原因です。
多くのあざは見た目だけで、健康には影響を及ぼすことはありません。しかし、一部のあざは遺伝的要因や病気と関連している場合があります。遺伝的要因や病気のリスクがある場合は、専門医の診察を受けることが大切です。あざが急に大きくなったり色が変わったりした場合には、早めに医師に相談することをおすすめします。
生まれつきのあざ①赤あざ
赤あざは皮膚の血管が異常に増殖または拡張することで発生し、赤ちゃんの肌に赤い斑点や隆起が現れるのが特徴です。自然に消えることがありますが、一部の赤あざは経過観察や治療が必要となるケースもあります。
代表的な赤あざとして、以下の5つが挙げられます。
- いちご状血管腫
- サーモンパッチ
- ウンナ母斑
- 単純性血管腫
- 海綿状血管腫
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
いちご状血管腫
いちご状血管腫は、赤ちゃんの皮膚にいちごのような赤い隆起が現れます。生後数週間までに発生することが多く、1歳頃に最も目立つ傾向にあります。成長に伴い、縮小することが一般的で、約7割が学童期までに自然に消えるのが特徴です。
ただし、あざが大きく目や口などに近い場合は、機能的な問題を引き起こす可能性があります。また、いちご状血管腫が大きかったり膨らみが強い場合は後遺症が残る可能性があることから、専門医による診察や経過観察・薬物療法が推奨される場合もあります。
サーモンパッチ
サーモンパッチは、平らで淡い赤色のあざで、ストークマークやエンジェルキスとも呼ばれます。主に、額や首の後ろに現れるのが特徴です。サーモンパッチは、胎児期に血管が拡張することによって発生します。
サーモンパッチは成長とともに自然に消えることが多く、額のあざは1〜2年以内にほとんど目立たなくなるとされています。首の後ろのあざは少し長く残るケースもありますが、通常は目立たなくなるため、経過を観察する場合があります。
消えない・変化が見られる場合は、別のあざである可能性が考えられるため、医療機関を受診することが推奨されます。
ウンナ母斑
ウンナ母斑は、赤ちゃんの首の後ろや頭皮などに見られる薄い赤いあざで、ストークマークの一種とされています。首の後ろにみられるウンナ母斑は「コウノトリが運んできた跡」とも言われることがあります。
胎児期の血管形成時に、毛細血管が拡張することで発生するのが特徴です。ウンナ母斑の多くは、時間が経つにつれて目立たなくなりますが、首の後ろにできたものは成人期まで残ることがあります。
特別な治療は必要ありませんが、見た目が気になる場合や変化が見られる場合には皮膚科で相談すると良いでしょう。
単純性血管腫
単純性血管腫は、血管が異常に発達することが原因です。皮膚の浅い部分にできることが多く、斑点状や隆起することもあります。顔や手足に現れることが多いですが、体のどこにでも発生する可能性があるため、見た目が気になる方もいます。
単純性血管腫の中には、時間の経過とともに縮小するタイプもありますが、一部のあざは拡大していくことがあるため、経過を観察するのがおすすめです。
治療としては、経過観察が基本ですが、必要に応じて薬物療法やレーザー治療が選択されることもあります。心配な場合は専門医に相談するのがおすすめです。
海綿状血管腫
海綿状血管腫は、脳や脊髄に発生する良性の血管の塊で、異常に拡張した毛細血管が集合したものです。脳内のどの部位にもできる可能性がありますが、特に大脳や小脳、脳幹に多く見られます。
多くの場合、自覚症状はありませんが、血管のもろさから出血しやすく、脳出血を引き起こすことがあります。その結果、けいれんや神経症状が現れることもあります。
生まれつきのあざ②青あざ
青あざは、皮膚の深層にメラニン色素が沈着することが原因です。青や青紫色に見えることから、青あざと呼ばれています。生まれつき現れることが多く、東アジアの赤ちゃんに特に多く見られるのが特徴です。
一般的には自然に消えるものが多いですが、消えないタイプの青あざは治療が必要なこともあります。
代表的な青あざとして、以下の5つが挙げられます。
- 蒙古斑・異所性蒙古斑
- 太田母斑
- 青色母斑
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
蒙古斑・異所性蒙古斑
蒙古斑は、お尻や腰の周辺に現れる青あざで、東アジア系の赤ちゃんに非常によく見られます。皮膚の深層にメラニン色素が沈着することが原因で、青や灰色に見えるのが特徴です。
蒙古斑は5〜6歳ごろまでに自然に消えるため治療は不要ですが、異所性蒙古斑は自然に消えないため、消すためには治療が必要となります。
異所性蒙古斑は、顔や手足などの蒙古斑では見られない部位に発生する青あざのことです。洋服に隠れない場所にできることもあるため、見た目が気になる場合は治療を受けるのが良いでしょう。
太田母斑
太田母斑は、顔や目の周囲に現れる青紫色のあざで、片顔の側に限定されることが一般的です。蒙古斑と異なり、自然に消えることがほとんどなく、成長とともに目立つことがあります。
思春期以降になると色が濃くなる場合があるため、美容的な問題として治療を希望するケースも少なくありません。太田母斑は健康には直接影響を与えませんが、目や皮膚にかかわる病気と関連する可能性があるため、医師の診察を受けることが重要です。
治療方法としてはレーザー治療が一般的で、複数回の施術をすることで、色を薄くする効果が期待できます。
青色母斑
青色母斑は、皮膚の浅い部分に色素が沈着することで形成される青いあざで、小さな点状または斑状の形状を持つのが特徴です。顔や手足にみられることが多く、自然に消えることはまれです。
青色母斑は、健康に影響を及ぼすことはありませんが、見た目を気にされる場合は医師に相談することをおすすめします。必要に応じて美容的な治療が行われることがあります。
生まれつきのあざ③黒あざ
生まれつきの黒いあざは、巨大色素性母斑である可能性があります。巨大色素性母斑は、体の広範囲にわたる大きな黒いあざで、生まれつきみられるのが特徴です。メラニン色素が過剰に蓄積していることが原因で、大きさや形状、濃さには個人差が大きくなっています。
成長とともにサイズが大きくなることがあり、美容的な観点や健康面でのリスクが懸念されます。
巨大色素性母斑はまれに悪性黒色腫(メラノーマ)に進行する可能性があるため、定期的な観察が必要です。治療は外科的切除やレーザー治療が選択肢となります。
生まれつきのあざ④茶色いあざ
茶色いあざは、皮膚の表層にメラニン色素が蓄積することで形成されます。色の濃さや形状はさまざまで、カフェオレ斑やベッカー母斑、表皮母斑などが代表的です。多くの場合、健康には影響を与えませんが、まれに遺伝性疾患と関連するケースもあります。
ここからは、カフェオレ斑やベッカー母斑・表皮母斑を詳しく解説します。
カフェオレ斑
カフェオレ斑は、コーヒーにミルクを混ぜたような淡い茶色の平らなあざです。1つまたは2つ程度であれば健康には影響を与えませんが、6個以上ある場合は神経線維腫症1型の可能性があるため、専門医の診察を受けることをおすすめします。
ベッカー母斑
ベッカー母斑は、思春期ごろに現れることが多い茶色いあざで、男性に多く見られます。あざの範囲は比較的大きく、毛が濃く生えることが特徴です。ベッカー母斑は、メラニン色素の沈着とホルモンの影響が原因と考えられています。
健康に影響を与えることはほとんどありませんが、見た目が気になる場合は、レーザーで治療をするのが一般的です。
表皮母斑
表皮母斑は、皮膚の隆起や不規則な形状が特徴です。体のどの部位にも発生する可能性があり、顔や首・手足など、目立つ場所にできやすいです。大きさや形状には個人差があり、経過観察や外科的切除が選択肢となります。
また、非常にまれなケースでは、内臓や神経系に異常を伴う場合があるため、医師の診察を受けるのがおすすめです。
生まれつきのあざを消す方法
生まれつきのあざは種類によって治療法が異なります。あざの治療には、レーザー治療が用いられることが多いですが、外科的手術や皮膚再建術が必要となる場合があります。
ここからは、あざの色別に消す方法を紹介します。
赤あざ
赤あざの治療には、[/marker-y]ダイレーザー(Vビーム)[/marker-y]が使用されます。ダイレーザー(Vビーム)は赤あざの色を薄くする効果があります。赤あざの治療は、年齢が若いほど効果が高いとされています。
青あざ
青あざの治療には、Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーが用いられます。メラニン色素にレーザーを当てることで、あざの色を徐々に薄くする効果があります。特に、異所性蒙古斑や太田母斑は、Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーによる治療が有効です。
青あざは深部に色素が沈着しているため、複数回の施術が必要です。完全に消すことは難しい場合もありますが、早期治療により見た目を大きく改善できるでしょう。
黒あざ
黒あざの治療には、レーザー治療や外科的切除が選択されます。小さな黒あざにはレーザー治療が適用されますが、大きなあざや悪性化のリスクがある場合には外科的切除が行われることがあります。
切除後は、皮膚再建術や植皮術が選択肢となるでしょう。あざの部位や範囲によって治療計画が異なるため、専門医の診察を受けて治療方法を決定することが推奨されます。
茶色いあざ
茶色いあざは、Qスイッチレーザーを用いた治療が一般的です。特に、扁平母斑や表皮母斑に効果的で、色素細胞に作用することであざを薄くしていきます。
治療回数はあざの範囲や濃さに応じて異なり、複数回の施術が必要になることもあります。
場合によっては、外科的切除が選択されることもあります。
まとめ
この記事では、生まれつきみられるあざの種類や原因を解説しました。
生まれつきのあざは、赤あざ・青あざ・黒あざ・茶色いあざに分類され、それぞれ原因や治療法が異なります。赤あざは血管の異常が原因で、青あざは皮膚の深層に色素が沈着して発生するのが特徴です。
黒あざはメラニン色素の増加が原因であり、巨大色素性母斑など健康リスクを伴うものもあります。茶色いあざには、カフェオレ斑やベッカー母斑があり、遺伝性疾患と関連するケースもあるため、経過観察がとても重要です。
あざを消す方法としては、レーザー治療や外科的切除が一般的ですが、あざの種類や状態に応じて最適な治療法が異なるため、専門医による診察を受けることをおすすめします。
この記事を参考に、早期の診断と適切な治療を行い、見た目や健康面のリスクを軽減しましょう。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医