毛細血管拡張症の治療は保険適用される?保険適用となる条件や費用などを徹底解説
毛細血管拡張症の治療は基本的に保険が適用されますが、「保険適用に条件はある?」「費用はどれくらいかかるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。条件によっては保険が適用される場合と適用外の場合があるため、事前に確認しておくことが重要です。
この記事では、毛細血管拡張症の治療における保険適用について詳しく解説します。また、保険適用となる条件やかかる費用も併せて紹介します。
この記事を読めば、毛細血管拡張症の治療費や保険適用条件について理解できるので、治療を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
毛細血管拡張症の治療方法
毛細血管拡張症の治療方法には、VビームレーザーやQスイッチルビーレーザーなど、レーザーを用いた治療があります。レーザーを使用した治療は、毛細血管の収縮や破壊などをして血管を目立たなくし、赤みやシミを改善するのに効果的です。
一度の治療でも効果はありますが、しっかりと効果を出すために数回に分けて施術を施します。
皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では、VビームレーザーやQスイッチルビーレーザーを使用しています。Qスイッチルビーレーザーは、正常な血管や皮膚には吸収されにくいため、効率の良い治療が可能です。
クリニックによって使用するレーザーは異なるため、どのような治療をされるのか事前に確認しておくと良いでしょう。
毛細血管拡張症の治療方法と保険適用条件
毛細血管拡張症は治療法によっては保険が適用される場合もありますが、適用条件を満たしていない場合は自己負担となります。ここからは、保険適用となる条件や適用外の治療方法について詳しく解説します。
保険適用となる条件の具体例
毛細血管拡張症の治療の多くは、保険が適用されます。以下の診断がされた場合は、保険適用となるケースがほとんどです。
- 毛細血管拡張症
- いちご状血管腫(乳児血管腫)
- 単純性血管腫
いちご状血管腫(乳児血管腫)は、生まれて間もない赤ちゃんにできるあざです。そのままにしても治る可能性はありますが、新生児のうちから治療することが推奨されています。
単純性血管腫は生まれたときからあるあざで、自然に治ることはありません。単純性血管腫も皮膚が薄い子どもの方が治療効果が高いため、子どものうちに対応することが推奨されています。
ただし、クリニックによっては保険が適用されない場合もあるため、事前に確認してみてください。
保険適用外となる治療方法
毛細血管拡張症と診断されても、治療方法によっては保険適用外になる場合もあります。
基本的に、治療が必要だと判断された箇所以外や必要以上の照射を希望した場合は、自由診療とみなされて保険適用外となります。
また、保険適用外の薬や機器を用いた治療や、治療する間隔を自分で指定する場合も保険適用外です。ただし、保険適用はクリニックによって異なる場合もあるため、複数のクリニックに相談してみるのも良いでしょう。
Vビームレーザー治療が保険適用されるケース
Vビームレーザー治療の保険が適用されるケースは、以下のとおりです。
- 診断された箇所の治療
- 厚生労働省で認可された治療
- 医師が定めた間隔での治療
基本的に、治療が必要な箇所であれば、保険適用となります。厚生労働省に認可された、レーザー治療や薬の使用も保険適用です。保険内で治療したい方は、医師の判断による治療や治療間隔に従いましょう。
Vビームレーザー治療を受ける際は、保険適用の可否についてカウンセリングで確認しておくと安心です。
毛細血管拡張症の治療費用
毛細血管拡張症の治療費用は、保険の適用の有無によって大きく異なります。ここでは、保険適用と適用外の費用について解説します。
保険適用の場合の値段
保険が適用された場合の費用は、以下のとおりです。
治療の面積 | 負担3割で保険適用 | 負担1割で保険適用 |
~10cm2 | 8,140円 | 2,720円 |
~20cm2 | 9,640円 | 3,220円 |
~30cm2 | 11,140円 | 3,720円 |
~40cm2 | 12,640円 | 4,220円 |
~50cm2 | 14,140円 | 4,720円 |
※2025年1月時点
かかる費用は治療する面積によって異なり、大きくなるほど高くなります。面積の上限は180cm2で、毛細血管拡張症の場合これ以上大きい例はほぼありません。3割負担だと1,500円ずつ加算され、1割負担の場合は500円ずつ加算されます。
保険適用外の場合の値段
保険が適用されない場合は、以下の通常料金になります。
治療箇所 | 通常料金 |
全顔 | 33,000円 |
首前面 | 33,000円 |
両頬 | 22,000円 |
フェイスライン | 22,000円 |
鼻 | 11,000円 |
デコルテ | 33,000円 |
背中(上部) | 55,000円 |
※2025年1月時点
上記は皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷の、通常料金です。クリニックによっては、費用が異なるため、事前に確認しておきましょう。
毛細血管拡張症とは?
毛細血管拡張症とは、皮膚の浅い部分にある毛細血管が拡張して戻らなくなり、皮膚から透けてみえている症状です。毛細血管拡張症は赤みをおびており、顔や足に現れます。特に、頬や鼻周辺に出ることが多く、日常生活や美容面で気になる方も少なくありません。
炎症は伴いませんが、赤みは自然に消えないため、改善するには適切な治療が必要です。
毛細血管拡張症は単独で発症することもありますが、酒さや他の皮膚疾患と関連している場合もあります。
症状が長引く場合は毛細血管拡張症の可能性が高いため、専門医による診察を受けましょう。
毛細血管拡張症の原因
毛細血管拡張症の発症には、さまざまな要因が関与しています。ここでは、主な原因を以下の3つに分けて解説します。
- 遺伝や体質
- 生活習慣の影響(寒暖差・飲酒など)
- その他の要因
1つずつ詳しくみていきましょう。
遺伝や体質
毛細血管拡張症は遺伝や体質による影響が大きいといわれています。[/marker-y]血管壁の強度が遺伝的に弱い方や、皮膚が薄く敏感な人は血管が透けやすい[/marker-y]ため、症状が現れやすいようです。
また、ホルモンバランスの変化により、血管の拡張が促されることもあります。特に、女性は男性と比べて発症率が高くなりがちです。妊娠や更年期などホルモンの影響を受ける時期は、症状が悪化する場合もあります。
妊娠中に出る症状は出産により治まる場合がほとんどですが、症状が気になりだしたら、医師に相談してみると良いでしょう。
生活習慣の影響(寒暖差・飲酒など)
日常の生活習慣も毛細血管拡張症の原因となります。寒暖差が激しい環境にいると、血管が収縮と拡張を繰り返し、拡張したまま元に戻らなくなる場合があるため注意が必要です。
また、アルコールを摂取すると血管が拡張するため、頻繁に飲酒をする人は症状が進行する可能性があります。さらに、辛い食べ物や熱い飲み物を摂取した場合も血管への刺激につながり、毛細血管拡張症が発症する場合もあります。
上記のような生活を日常的に繰り返すと毛細血管拡張症が発症しやすいため、治療後は生活習慣や環境を変える必要もあるでしょう。
その他の要因
その他の要因として、紫外線の影響やストレス、長期間のステロイド使用などがあります。一時的な赤みやニキビによる炎症、自然に消える赤みなどは毛細血管拡張症ではない可能性があります。
毛細血管拡張症は、血管が透けてみえて赤みが治らない症状です。このような症状ではない場合、他の病気が関係している可能性もあるため、医師の診断を仰ぎましょう。診断を誤ると悪化してしまう可能性もあるため、経験のある医師の診断が必要です。
毛細血管拡張症のセルフケア
毛細血管拡張症はセルフケアを工夫することで、症状の進行を防げる可能性があります。ここでは、スキンケアや生活習慣の改善について解説します。
スキンケア
毛細血管拡張症のセルフケアは、肌を刺激しないことが大切です。洗顔時はゴシゴシ擦らず泡で優しく洗うことを意識してみてください。また、アルコール成分が多い化粧水や、刺激の強いピーリング剤の使用は避けた方が無難です。
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、血管の拡張が目立ちやすくなるため保湿ケアも欠かせません。保湿する際は、セラミドやヒアルロン酸を含む保湿剤がおすすめです。さらに、日焼け止めを日常的に使用し、紫外線対策を徹底する必要があります。
これらのスキンケアを続けることで、毛細血管拡張症の悪化を防ぎ、肌の状態を整えられるでしょう。
生活習慣の改善
毛細血管拡張症は生活習慣が乱れることで発症する場合もあるため、予防や改善には見直しが必要です。アルコールや刺激物の摂り過ぎは血管を拡張させ、症状を悪化させる可能性があります。
さらに、ストレスをため込まないことも大切です。ストレスは血流やホルモンバランスに影響を与えるため、リラックスできる時間を作るよう心がけましょう。十分な睡眠とバランスの良い食事も、健康な血管を保つために欠かせない要素です。
これらの生活習慣を改善することで、毛細血管拡張症の予防や進行抑制に期待できます。
毛細血管拡張症の治療の副作用
毛細血管拡張症を治療すると、以下のような副作用が現れる場合もあります。
- 腫れ・赤み・痛み
- 内出血
- かさぶた
- 色素沈着
1つずつ詳しくみていきましょう。
腫れ・赤み・痛み
毛細血管拡張症の治療後は、皮膚が一時的に腫れたり赤くなったりする場合があります。原因はレーザーによる血管へのアプローチで、治療部位の周辺に炎症が起きるためです。また、施術時の熱や光の刺激により、痛みを感じる場合もあります。
これらの症状は通常数日から1週間程度で改善しますが、冷却パッドを使用して患部を冷やすと腫れや痛みの軽減に効果的です。また、炎症を抑える外用薬を医師が処方する場合もあるため、指示に従って適切に使用しましょう。
内出血
内出血は、レーザー治療で毛細血管が破壊されることで現れる場合があります。特に、血管が近い部位やデリケートな肌の方は、内出血のリスクが高くなりがちです。内出血は紫色から黄色に色が変わりながら、自然に消えます。
内出血の症状が悪化しないように、治療後しばらくはマッサージや圧力がかかる行為を控えてみてください。また、血行を促進するような入浴や運動、飲酒も避けた方が良いでしょう。
かさぶた
治療後、レーザーが当たった部分にかさぶたができる場合があります。かさぶたは皮膚が回復する過程で起こる自然な反応で、無理に剥がそうとせず、保湿をして乾燥を防ぐ必要があります。
また、かさぶたが剥がれる際に皮膚が傷つく可能性もあるため、過剰な摩擦や刺激を与えないよう注意しましょう。
色素沈着
レーザー治療後、皮膚に色素沈着が起こる場合もあります。色素沈着は治療による炎症が原因で、メラニンが増加するため発症します。特に、紫外線にさらされることで色素沈着が悪化しやすくなるため、治療後の紫外線対策は欠かせません。
色素沈着が気になる場合は、美白効果のある外用薬やサプリメントを医師に相談してみるのも良いでしょう。これらの副作用を理解し、適切なアフターケアをすることで、毛細血管拡張症の治療を安心して受けられます。
毛細血管拡張症の治療回数の目安
毛細血管拡張症の治療回数の目安は、5回〜10回程度です。1度の施術で改善がみられることもありますが、ほとんどの場合、5回以上の治療が必要となる方が多くいます。
保険が適用される場合は3ヶ月以上の間を空けて治療する必要があります。そのため、5回治療する場合は1年以上、10回の場合は2年以上の治療期間が必要です。
保険適用外だと治療の間隔を2週間~1ヶ月程度に指定できるため、5回の治療で約2ヶ月、10回だと約5ヶ月で完了します。治療の回数を重ねることで症状が徐々に改善されていくため、医師の指導を守りながら適切な治療を受けましょう。
まとめ
この記事では、毛細血管拡張症の保険適用について解説しました。毛細血管拡張症の保険適用は、条件や治療方法によって異なります。治療の間隔を指定したり、治療方法を選んだりすると、保険適用外となるため注意が必要です。
また、クリニックによっては保険適用の条件が異なる場合もあるため、事前に確認しておく必要があります。治療にかかる費用も、レーザーを照射する範囲や回数によって異なるため、事前確認が必要です。
この記事を参考に、毛細血管拡張症の治療に向けた第一歩を踏み出し、適切な治療を受けましょう。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医