単純性血管腫のレーザー治療における経過と注意点を解説
単純性血管腫は、生まれつきの赤あざのひとつで、顔や首、うなじ部分をはじめとして全身にあらわれます。
単純性血管腫は成長とともに赤あざの範囲が拡大したり、凸凹になり目立つようになることもあります。
この記事では単純性血管腫のレーザー治療の経過と注意点を解説します。
あざに関するお悩みやご質問は、皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷へぜひご相談ください。
単純性血管腫の概要と特徴
単純性血管腫は顔や体に出る真皮の毛細血管が拡張してできる赤いあざのことです。
生まれつき発症することが多く、境界線がはっきりして平らなのが特徴です。
単純性血管腫は成長しても、自然には消滅しません。
放置すると面積が広がったり盛り上がって凹凸になったりして治療が難しくなり、出血がしやすくなります。
単純性血管腫の治療は年齢が若い赤ちゃんのうちがおすすめです。
子どものうちは皮膚が薄く回復力も高いため、大人になってから治療するより施術回数が少なく済みます。
単純性血管腫のレーザー治療とは
単純性血管腫の最新治療で使用するのは、冷却システムや出力調整などに最新の機能があるダイレーザー【Vbeam Ⅱ】です。
赤ちゃんから大人まで幅広い年齢に治療できます。
Vbeamレーザーについて、詳しく解説します。
レーザー治療のしくみ
血液中の色素に反応して熱に変わる最新のレーザー治療です。
- 熱による凝固作用で血管の壁を破壊して血管をふさぐ
- 血流が途絶えることにより血管が収縮し、単純性血管腫が改善する
また、実際にPDLレーザーダイレーザー【Vbeam Ⅱ】は、治療効果があります。
レーザー治療の目的とメリット
レーザー治療は生まれて間もない赤ちゃんの頃から始めることが可能です。
赤ちゃんの肌は皮膚が薄く柔軟であるため、治療による副作用や痛みのリスクが低いとされています。
また、早い段階で治療を始めることで、より高い効果に期待できます。
ほかにも赤ちゃんの単純性血管腫は比較的小さいため、短期間で治療を終える期待が持てます。
特に単純性血管腫が目立つ場所にある場合は、早期治療を行いお子様の心理的な負担を軽減してあげましょう。
治療に使用するレーザーの種類
単純性血管腫のメインの治療法はレーザーです。
シミ治療のレーザーとは異なり、血管をターゲットとした「ロングパルスダイレーザー」を通常使用します。
機種としては「Vbeam(ブイビーム)」という名前で知られています。
時代とともにロングパルスダイレーザーがグレードアップされるため、10年前に比べると少ない副作用で効果的に単純性血管腫を治療できるようになりました。
施術の流れと経過
あらかじめ日時をご予約の上で来院なさると待ち時間が少なくてスムーズです。
オンライン予約システムを取り入れているクリニックは依頼フォームが問診票になっています。
今の症状について詳しくご記入ください。
施術の所要時間と回数
単純性血管腫の施術回数や施術期間は、以下のとおりです。
施術回数 | 施術間隔 | 施術期間 |
---|---|---|
3~10回 (10回以上の場合もある) |
週1~3カ月 | 約3年 |
レーザー治療をするなら記憶に残りにくい年齢から開始しましょう。
- 一般的に約3か月おきにレーザー照射、1週間後にチェック受診
- あざの範囲によって受診頻度が変わる
- 広い場合は分割して照射
- 保険適用
強いレーザーは皮膚に負担がかかるため、炎症ややけどのリスクが避けられません。
治療は繰り返し受ける必要があります。血管は深くまで広がっていることが多く、1度の照射では完治しません。
成長と共に皮膚が厚くなり、効果を実感するために施術回数が増えることが多いです。照射範囲が広がるため皮ふの負担が大きくなります。
単純性血管腫の種類と術後経過
単純性血管腫の種類は下記のように分かれます。
- ポートワイン母斑
- サーモンパッチ(正中部母斑)
- ウンナ母斑
それぞれ解説します。
ポートワイン母斑
狭義の単純性血管腫です。赤ワイン色の生まれつきの赤あざで「ポートワイン母斑」と呼ばれます。
これは全身に現れることがあり、自然には消えません。
放置すると面積が広がり、表面の凸凹が目立つでしょう。
四肢の片側に発生するとその部分の長さと太さに左右差が生じることもあるため、早めの治療が重要です。
その原因は、真皮の細い血管が増えている状態によるものです。
ポートワイン母斑は赤ちゃんのうちに治療しましょう。
特に露出部であれば精神的負担を軽減することができます。
サーモンパッチ(正中部母斑)とウンナ母斑
類似の赤あざにはサーモンパッチ(正中部母斑)とウンナ母斑があります。
あざが出現する部位によって、サーモンパッチ、ウンナ母斑と使い分けされています。
サーモンパッチとウンナ母斑の違い
出現の部位 | 自然に消えるか | |
---|---|---|
サーモンパッチ | 顔や頭部の正中部 | 比較的消えやすい |
ウンナ母斑 | うなじ | 消えにくい |
サーモンパッチの特徴は次のとおりです。
- 赤あざで顔(特におでこやまぶた)や頭部の真ん中にできる
- 一般的に2歳までに自然に消えることが多い
- 原因は不明
日本人の統計では、1歳以下で26.3%、その後急速に減少し2〜59歳の保有率は1.1%です。
ウンナ母斑の特徴はサーモンパッチと比べると消えにくく、生後1年以内では89.5%にみられます。
その後保有率は減少して7〜9歳では14.9%と最も低くなりますが、その後は増加します。
原因は現在でも明らかになっていません。
多くは孤発性ですが家族にも発生している時もあり、遺伝の可能性も考えられます。
サーモンパッチ(正中部母斑)とウンナ母斑は患者様によって治療期間が異なります。
単純性血管腫の治療は長期的
赤あざの面積と治療の進行状況によって異なりますが、単純性血管腫の治療は長期的に継続する必要があるため計画的に対応することが重要です。
治療の進行状況と赤あざの状態に応じて、定期的にクリニックに通うことをおすすめします。
皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では、安全を最優先にしつつお子さまとご家族の不安を少しでも軽減できるようにサポート体制が整っています。
施術に関するQ&A
単純性血管腫のレーザー治療について、クリニックでよく聞く疑問点について紹介します。
Q1.レーザー治療は痛いですか?
A.痛みの感じ方には個人差がありますが、ロングパルスダイレーザーの施術中は輪ゴムではじかれたような痛みを感じることもあります。
ロングパルスダイレーザーは、冷却しながらレーザーを照射する機能が搭載されています。
痛みが苦手な方のために塗るタイプとテープタイプの麻酔薬を準備していますので、不安な方はお気軽にクリニックへご相談ください。
Q2.施術後、日常生活に制限はありますか?
A.お子さまの場合は患部を傷つけたときに、色素沈着や傷跡の原因になるかもしれません。患部を傷つけないように注意しましょう
大人の場合は洗顔、入浴、メイクは当日から可能です。
ひりつきや患部に赤みがあるときには、患部をこすらないように注意しましょう。
乾燥肌が気になるときには、充分な保湿を心がけましょう。
紫外線を浴びると色素沈着の原因になることもあります。外出時には紫外線対策を心がけて日焼け止めクリームや帽子を使って日光に当たらないようにしましょう。
Q3.施術後にあざがまだらですが大丈夫ですか?
A.レーザーは丸い形で患部に照射されているため、場合によってはまだら模様に見えるかもしれません。
繰り返し施術を受けることで全体的に均一な色合いとなっていきます。
ご不明な点等は気軽にクリニックに問い合わせて疑問を解消しましょう。
まとめ
単純性血管腫は幼少のうちに治療を受けることをおすすめします。
皮膚が薄い幼少時に行うレーザー治療のほうが大人になってからよりも治療効果が高いので、見た目の色を気にする場合であれば積極的に治療を行っていくことが重要です。
皮ふと子供のあざクリニック茗荷谷はあざ治療に特化しており、子供と親の両方に配慮した治療を受けられます。
単純性血管腫の治療は、是非当院へご相談ください。
記事監修者プロフィール
院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
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- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医