Qスイッチ付きルビーレーザーで失敗してしまう原因と対策をわかりやすく解説
Qスイッチ付きルビーレーザーは、シミ取りやあざ消しの皮膚科の治療において主流なレーザーです。
シミやあざの原因となるメラニン色素への反応がとても良く、正常な皮膚細胞や血管をほとんど傷つけることなく、ピンポイントでターゲットにしているシミやあざのメラニン色素を破壊することができます。
赤ちゃんや子どもの青あざの代表である、太田母斑や異所性蒙古斑にもQスイッチ付きルビーレーザーはとても効果的です。
しかし、Qスイッチ付きルビーレーザーを照射して失敗してしまった、という事例があるのも事実です。
本記事では、Qスイッチ付きルビーレーザーで起こり得る失敗事例と、効果的にレーザー治療をするためのポイントについて紹介していきます。
皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では、大人のシミ取りのほかに、赤ちゃんや子どものあざに対するレーザー治療を多く実施しています。
デリケートな赤ちゃんや子どもの皮ふにレーザーを照射する高い技術と、豊富な症例をもとに、診察や治療をおこなっているので、お気軽にご相談ください。
Qスイッチ付きルビーレーザーで起こりうる失敗とは
Qスイッチ付きルビーレーザーでシミ取りやあざ消しの治療をした際に、起こりうる失敗を紹介していきます。
シミやあざが消えなかった
Qスイッチ付きルビーレーザーを照射したときの失敗の多くは、治療効果を感じられず、シミやあざが消えなかった、という症例です。
Qスイッチ付きルビーレーザーの波長はメラニン色素に特定的に反応し、シミやあざのメラニンを破壊することで色味を消す仕組みです。
レーザーの照射パワーが弱かったり、シミやあざの色味の原因がメラニン色素でない場合は、治療効果を得られません。
また、Peter K. Lee, Chi N. Rosenberg, Hensin Tsaoの『Failure of Q-switched ruby laser to eradicate atypical-appearing solar lentigo: report of two cases.』(Journal of the American Academy of Dermatology)では、Qスイッチ付きルビーレーザーは、悪性黒子やその他の非定型メラノサイト病変を完全に除去するのに効果がない可能性を示唆しています。
We describe two patients in whom the Q-switched ruby laser failed to successfully treat clinically atypical-appearing solar lentigines. In both, clinically atypical-appearing melanocytic lesions were treated with excellent initial cosmetic results. In the first patient, the pigmentation returned several months after treatment and continued to increase in size and color. A biopsy specimen 30 months after Q-switched ruby laser therapy revealed a lentigo maligna melanoma. In the second patient, the lesion recurred 6 months after Q-switched ruby laser therapy, and a biopsy specimen 1 year after treatment showed an early lentigo maligna. Thus Q-switched ruby lasers and other cutaneous lasers capable of targeting melanin may be inadequate to eliminate lentigo maligna and other atypical melanocytic lesions completely.
照射箇所が白く色抜けしてしまった
レーザーを照射した部分の色が抜け、白くなってしまうことを「白斑」といいます。
レーザーがシミやあざの周辺にある正常な色素細胞に反応してしまい、色味が抜けて白くなってしまうことがあります。
多くは一時的で時間と共に回復します。
治療後に色素沈着してしまった
Qスイッチ付きルビーレーザーの照射後に色素沈着が悪化してしまうという失敗例もあり、「炎症後色素沈着」といいます。
レーザーの照射パワーが強すぎることや照射時に発する熱が原因で、シミが生成されてしまいます。
また、シミやあざは、発生機序やメラニン色素の深さによってもいくつか種類があり、Qスイッチ付きルビーレーザーが適さないシミもあります。
肝斑と呼ばれるシミは、レーザーによってかえってメラニンの生成が促されてしまう特性をもっているため、漫然とQスイッチ付きルビーレーザーを照射してしまうと悪化します。
Qスイッチ付きルビーレーザーの失敗を防ぎシミやあざを効果的に消すために
ここまでQスイッチ付きルビーレーザーの失敗談を紹介しましたが、適切に診断をして正しくレーザーを照射すれば、シミやあざをほとんど目立たなくすることができる人気の治療です。
レーザー治療によってシミやあざを効果的に消すために、重要なことを紹介していきます。
治療経験が豊富なクリニックを選ぶ
皮ふのレーザー治療を効果的に受けるために、最も重要なことはクリニック選びです。
レーザー治療の経験が豊富で、口コミのよいクリニックを選ぶようにしましょう。
レーザーの照射は、出力パワーの調整や均等に皮ふに当てるための技術が必要です。
また、レーザー治療が適切な肌の状態であるか、肝斑と老人性色素沈着の区別など、診察の時点でも形成外科医としての経験が重要となります。
とくに、子どもや赤ちゃんのあざに対するレーザー治療を専門的におこなっているクリニックは少ないため、クリニックや担当医師の症例数、実績についてしっかりと事前に確認しておくことが大切です。
予測される治療経過を事前にクリニックとしっかり確認しておく
Qスイッチ付きルビーレーザーでシミやあざにレーザー照射をすると、照射直後は皮ふが熱をもち、かさぶたが形成されます。
10日間ほどでかさぶたがはがれて、かさぶたの下にはきれいな皮ふが生成される、といった経過をたどります。
レーザー照射後の一般的に予測される経過を知っていると、かさぶたができたときに冷静に対応できますし、自宅でのセフルケアを正しく行うことができます。
特にレーザー照射後の保湿や紫外線対策は念入りに行う必要があるため、事前カウンセリングで医師や担当者と、治療経過や自宅でのケア方法について確認しておきましょう。
アフターケアに留意する
レーザー照射後の肌は、とても敏感な状態です。
普段以上の紫外線対策や保湿が必要で、メイクや洗顔の際にもこすったり強い刺激を与えない様に注意する必要があります。
もしも症状の悪化や皮ふの違和感を感じたら、すぐに相談できる体制が整っているクリニックを選ぶとよいでしょう。
シミ・子どものあざのレーザー治療は皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷へ
Qスイッチ付きルビーレーザーは多くの形成外科クリニックで導入されており、シミ取りやあざ消しで主流の治療方法です。
メラニン色素をピンポイントで破壊して、治療効果が高いという特徴がありますが、一定数の失敗事例もあるのが事実です。
赤ちゃんや子どものあざ消しには、Qスイッチ付きルビーレーザーが効果的なことも多いですが、レーザーの出力調整やあざの種類の鑑別、皮ふ症状の見極めがとても重要になります。
皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では、専門的に子どものあざに対してレーザー治療をおこなっております。
あざやシミ取りのご相談は、お気軽に皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷へご連絡ください。
記事監修者プロフィール
院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
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- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
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- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医