子どもの青あざは早く治す必要があるの?異所性蒙古斑と太田母斑の治療について詳しく解説
お子さまの肌に青っぽい色素斑はありませんか?
後天的な転んでできた青あざとは違い、異所性蒙古斑や顔の片側に現れる太田母斑は、生まれつき現れます。
お子さまの成長に伴い薄くなっていきますが、治療が必要か心配ですよね。
そこで、本記事では子どもの青あざを早く治す必要があるのか、またその方法について解説します。
より詳しくは皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷にご相談ください。
子どもの青あざの種類
子どもの青あざのうち、自然に消えない青あざの大半は異所性蒙古斑か太田母斑です。
それぞれの違いや特徴は以下のとおりです。
異所性蒙古斑
蒙古斑は生後数日から1か月の間におしりや腰に見られるようになり、5〜6歳頃までには自然に薄くなって消えていきます。
異所性蒙古斑はおしりや腰以外の部分にできる蒙古斑のことで、蒙古斑と同じくだんだん薄くなって6〜10歳頃までには自然に消えていくものがほとんどです。
しかし、3〜4%程度の方では異所性蒙古斑が消えずに残ります。
沖縄中部の小学生 10,248名を対象に調査をしたところ、異所性蒙古斑の有病率は6歳で7.43%、11歳で2.22%だったという研究結果が出ています。
(Kikuchi I. Mongolian spots remaining in schoolchildren a statistical survey in Central Okinawa. J Dermatol. 1980; 7: 213-216.)
なお、異所性蒙古斑による青あざはその他の病気との関連性は報告されていないため、放置しても問題はありません。
異所性蒙古斑は色が濃いものが消えずに残りやすいです。
そのため、衣服で隠れない顔や手足にできた異所性蒙古斑は、本人や家族の精神的な苦痛を和らげるために治療の対象とされています。
太田母斑
太田母斑とは、額や頬、まぶたなど三叉神経領域に広がってできる青あざです。
ほとんどの太田母斑は顔の片側のみに現れ、自然に消えることはありません。日本では1,000人に1人の割合で出現すると言われています。
また、女性の場合は両側に出現することが多いのが特徴です。
生後数日から生後数週間で出る太田母斑は早発型、思春期以降で出る太田母斑は遅発型で「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」と呼びます。
20代〜40代の女性は出産や閉経などホルモンバランスが大きく乱れるときに太田母斑が出ることもあり、時にはシミとの見分けが困難でシミと誤診されることもしばしばあります。
青あざの治療方法
異所性蒙古斑や太田母斑はレーザーによる治療が有効です。
皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では「QプラスR」というQスイッチ付きルビーレーザーを使用しています。
青あざがある部分にレーザーを照射し、青あざの原因であるメラニン色素を破壊していきます。
実際の青あざである異所性蒙古斑でレーザーを照射し治療した写真がこちらです。
なお、3か月から半年おきに2〜5回照射していきます。
さらに詳しくはこちらもご覧ください。
治療の頻度と回数
異所性蒙古斑では治療効果が高い幼児期にレーザー治療を行えば、1〜3回ほどで青あざはかなり薄くなります。
年齢が高くなるほど治療回数が増えるため、早めに治療を始めるのがおすすめです。
太田母斑の場合もレーザーを使った治療がメインで、異所性蒙古斑と同じく早期治療が早く青あざを消すのに有効です。
レーザー治療の間隔は3か月から半年に1度の割合で、2〜5回の治療で青あざがかなり薄くなりますが、成人になって治療をスタートした場合はさらに回数が必要となるケースがあります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
太田母斑は異所性蒙古斑とは違い、ホルモンバランスの乱れなどが原因で拡大・再発することがあります。
拡大・再発したときには、その都度青あざを消すためにレーザー治療を繰り返します。
異所性蒙古斑も太田母斑も、完全に消えるまで治療するとレーザーによる炎症後色素沈着や色素脱失が現れやすいため、青あざがほぼ見えなくなるところをゴールとするのがおすすめです。
治療を始めるタイミング
治療はどのタイミングで始めたらよいか、疑問に思われる方もおられますが、治療に興味を持ったタイミングで治療を始めるとよいでしょう。
ただ、こちらの論文にもありますように早期で始めると治療効率がよいので、早めに治療をおすすめします。
舟橋 ひとみ『小児を対象としたレーザー治療:異所性蒙古斑』(日本レーザー医学会誌2021 年 42 巻 1 号 p. 29-34)
学童期にほとんどが自然消退するため、いつの時点で治療するかは議論のあるところである。11歳になるとその後の自然消退は期待できないため、11歳以降にみられる色素斑を治療することに異論はなく、学童期まで待っても消退しないものに治療を開始すべきという考え方もある。
しかし治療開始年齢が早いほど治療回数が少なく良好な結果が得られることは、多くの報告で一致した知見であり、太田母斑でも同様である。乳幼児~幼少期は皮膚が薄く体表面積が少ないため、治療効率が良いのではないかと考えられている。Kagamiらは14歳以降の残存する蒙古斑・異所性蒙古斑症例を対象にQSALでの治療を行い、30%で色調改善が不十分であり、合併症も少なからずみられたことを報告している。したがって残存する可能性が高いと思われる症例や、露出部にあるため早期の治療を希望する症例には、乳幼児からのレーザー治療を検討してよい。
また、レーザー治療後は治療した部位に日が当たらないように遮光して生活しなければいけないため、遮光が難しい小学生の時期は治療を避けるようにする医師もいるようです。
太田母斑は青あざの拡大が終わってから治療を始めると治療回数をおさえることができます。
レーザーによる副作用
レーザー治療により副作用として色素沈着、色素脱失、発赤、内出血などが起こる可能性があります。
これらについて詳しくは下記記事に詳しく記載しておりますので、そちらをご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
赤ちゃんや子どもに生まれつきの青あざができて、驚かれた方もおられますが、特に重篤な病気ということではないのでご安心ください。
ただし、治療は早めに行ったほうが良いので、気になる方は一度皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷までご相談ください。
なお、東京都23区内では高校生まで自己負担なく無料で治療できます。安心してご受診ください。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
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- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
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- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医