先天性色素性母斑とがんの関係性は?メラノーマへ進行するリスクや症状、疾患の種類を解説
先天性色素性母斑は、さまざまな大きさの黒あざです。そんな先天性色素性母斑ですが、「がんと関係ある?」「メラノーマってどのような病気?」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、先天性色素性母斑とがんの関係性を詳しく解説します。また、症状や関連する疾患、メラノーマになるリスクも併せて紹介します。
この記事を読めば先天性色素性母斑を理解できるので、将来のリスクが心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
子どものシミやあざを改善するなら皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷
赤ちゃんや子どもにできるあざには、赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざの4種類があります。同じ色のあざでも、症状が出る場所によって病名や症状、治療方法が異なります。皮ふとあざのお悩みなら、皮ふと子どものあざクリニックにご相談ください。
当院では、子どもに特化した治療をしており、これまでの経験を活かして最適な治療方法をご提案いたします。大切なお子様への治療なので、何よりも安全に配慮して治療を行います。また、より前向きに治療をしていただくために、お子様とご両親にわかりやすい説明を心がけています。
「将来子どもにあざのことで悩ませたくない」と考えているご両親は、ぜひ皮ふと子どものあざクリニックにご相談ください。
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先天性色素性母斑とは
先天性色素性母斑は、皮膚の色素細胞のメラノサイトが異常に増殖して生じるあざの1種で、出生時や生後まもなく現れることがほとんどです。大きさや形、色合いは多岐にわたり、小さな点状のものから広範囲に及ぶ巨大なものまで存在します。
先天性色素性母斑は良性の病変ですが、一部はがんのメラノーマ(悪性黒色腫)へ進行するリスクがあるため、定期的な経過観察が必要です。
先天性色素性母斑の症状
先天性色素性母斑は、出生時または生後まもなく皮膚に茶色から黒色のあざとして現れます。見た目はさまざまで、大きさは数ミリ程度の小さなものから、体の一部を覆うような広範囲にわたる巨大なものまで存在します。
表面は平坦なこともあれば、隆起してざらざらしていたり、いぼ状になっていたりすることもあります。色調も均一なものから、濃淡が混じり合うものまでさまざまです。また、母斑の範囲内に周囲の毛よりも太く濃い毛が生えていることもあります。
先天性色素母斑に関する疾患
ここでは、先天性色素性母斑に関連する主な疾患を解説します。解説する疾患は以下のとおりです。
- 神経皮膚黒色症(しんけいひふこくしょくしょう)
- 後天的にできるほくろ(単純性黒子)
- 巨大色素性母斑
- ポイツ・ジェガース(Peutz-Jeghers)症候群
- 汎発黒子症(LEOPARD症候群)
- サットン母斑
1つずつ詳しくみていきましょう。
神経皮膚黒色症(しんけいひふこくしょくしょう)
神経皮膚黒色症は、大型または多発性の先天性色素性母斑に、中枢神経系(脳や脊髄)のメラノーシスが合併する疾患です。発症すると皮膚の母斑に加えて、脳や脊髄の表面にメラノサイトが増殖することで、神経が侵される可能性があります。
けいれん発作や水頭症、発達の遅れや麻痺などが現れることがあるため注意が必要です。神経皮膚黒色症はリスクも高いため、厳重な経過観察と早期の対応が必要とされます。
後天的にできるほくろ(単純性黒子)
後天的にできるほくろは、医学的にいうと単純性黒子と呼ばれています。これは、皮膚のメラニン色素を作る細胞のメラノサイトが部分的に増えて生じる、直径数ミリまでの小さな黒色や茶色の色素斑です。
ほくろは成長してからも現れ、増えることもあります。体のどこにでも発生する可能性がありますが、日光に当たりやすい部位に多くみられがちです。一般的には良性ですが、まれに悪性化することもあるため、専門医による診察が推奨されています。
ほくろの症状に不安がある方は、ぜひ当院にご相談ください。当院では、子どもから大人まで、1人ひとりに寄り添ったカウンセリングを心がけています。些細な悩みでも遠慮せずに、ぜひお気軽にお問い合わせください。
>>東京でほくろ治療をするなら皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷
巨大色素性母斑
巨大色素性母斑は特に大きな黒あざで、幼児期は9cm以上、成人だと直径20cmを超える黒あざを指します。出生時から存在する点は、先天性色素性母斑と同様です。
広範囲にわたる大きさから見た目の問題だけでなく、悪性腫瘍のメラノーマに進行するリスクが高いとされています。そのため、定期的な専門医による診察と、場合によっては予防的な手術やレーザー治療などが必要です。
ポイツ・ジェガース(Peutz-Jeghers)症候群
ポイツ・ジェガース症候群は、皮膚や粘膜に特徴的な色素斑と、消化管内に発生するポリープを特徴とする遺伝性疾患です。口唇や口腔粘膜、鼻孔や眼瞼などに直径数ミリの黒色や茶色の色素斑として現れます。
消化管ポリープが小腸に発症すると、腹痛や出血、腸重積などの症状を引き起こすことがあります。また、消化管だけでなく乳房や肺など、他の臓器にもがんを伴って発生する場合があるため早めの受診が必要です。
汎発黒子症(LEOPARD症候群)
汎発黒子症は、皮膚に多数のほくろがみられる遺伝性の疾患です。「LEOPARD」の名称は、この症候群の主要な症状の頭文字を取ってつけられました。主な症状は以下のとおりです。
- 多発性のほくろ(Lentigines)
- 心電図異常(Electrocardiographic conduction defects)
- 両眼隔離(Ocular hypertelorism)
- 肺動脈狭窄(Pulmonary stenosis)
- 性器の発育不全(Abnormalities of genitalia)
- 発達障害(Retardation of growth)
- 難聴(Deafness)
ほくろは全身に分布し、特に顔や首、体幹に多くみられます。
サットン母斑
サットン母斑は通常のほくろの周囲が、白く色素が抜ける「脱色素斑」が出現するのが特徴的な病変です。白い部分は自己免疫反応によって、ほくろの色素細胞であるメラノサイトが破壊されることで生じると考えられています。
サットン母斑をそのままにしておくと、時間をかけて大きくなることがほとんどです。治療により中央のほくろを取り除くと、白い部分も改善することがあります。
大きさごとの先天性色素性母斑とがんの関係|メラノーマへと進行リスク
先天性色素性母斑は、大きさによってメラノーマに進行するリスクが異なると考えられています。ここからは、大型~中型・小型サイズ別に、進行する可能性を解説します。
大型
直径が20cmを超える大型の先天性色素性母斑は、小型や中型のものと比較して、メラノーマへと進行する可能性が高いとされています。がん化する確率は2~8%程度で、切除すると確率が下がる傾向にあります。
先天性色素性母斑が大きくなりすぎると、切除しても痕が残ることが多いため、早めの手術を検討すると良いでしょう。
中型・小型
小型~中型の先天性色素性母斑は、成人になった時点で直径が20cm以下のものを指します。メラノーマになるリスクは低いとされており、がん化する確率は1%以下といわれていますが、ゼロではないため注意が必要です。
メラノーマは小型の先天性色素性母斑から発症することもあるため、念のため医療機関を受診しましょう。特に、大きさや色、形に変化がみられる場合は要注意です。
先天性色素母斑の除去方法
先天性色素性母斑の主な治療方法は、外科的な切除とレーザー治療です。ここでは、それぞれの治療方法を詳しくみていきましょう。
手術
先天性色素性母斑の最も確実な治療方法として、手術による切除が挙げられます。メラノーマへの進行リスクが高い大型の母斑や、悪性化が疑われる場合には予防的な観点からも手術が推奨されることがほとんどです。
切除方法は母斑の大きさや部位によって異なり、一度で切除できる場合もあれば、複数回に分けて切除する分割切除があります。また、皮膚の移植が必要となることもあります。
手術の時期は早い方が良いですが、子どもの成長や母斑の状況を考慮し、医師と慎重に相談して決定すると良いでしょう。
レーザー
レーザー治療は、主に小型から中型の先天性色素性母斑に有効で、見た目の改善を目的とする場合に選択されます。用いられるレーザーの種類は、メラニン色素に反応するQスイッチルビーレーザーや、アレキサンドライトレーザーなどです。
レーザー光が色素を破壊することで、母斑の色を薄くする効果が期待できますが、メラノサイトを完全に除去できるわけではありません。また、深い部分に存在するメラノサイトには効果が限定的なため、複数回の治療が必要な場合がほとんどです。
以下の記事では、子どものあざを消す方法を解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
先天性色素母斑の治療費用
ここからは、先天性色素性母斑の治療に必要な費用を、手術とレーザー治療別にみていきましょう。
手術
先天性色素性母斑の手術は、保険が適用されることがほとんどです。保険適用となった際の費用は、以下のとおりです。
大きさ | 3割負担 | 1割負担 |
3cm未満 | 約3,800円 | 約1,300円 |
3~6cm | 約9,700円 | 約3,200円 |
6~12cm | 約12,500円 | 約4,200円 |
12cm以上 | 約25,000円 | 約8,300円 |
費用は手術以外に、診察や病理検査料などがかかります。また、クリニックによっては保険適用外になることもあるため、事前に確認が必要です。
レーザー
レーザー治療は、一般的に保険適用外の自由診療となることがほとんどです。費用はレーザーを照射する面積や、使用するレーザー機器の種類、治療回数によって決まります。クリニックによって異なりますが、相場は数万円から数十万円程度です。
治療は複数回することがほとんどのため、ある程度の費用がかかる旨を念頭に置いておく必要があります。治療前に、クリニックで詳しい料金体系と概算費用を確認しておきましょう。
先天性色素母斑を治療した後の経過
先天性色素性母斑の治療後の経過は、選択した治療法によって異なります。手術で切除した場合、患部には傷跡が残りますが、時間とともに目立たなくなることもあります。広範囲を切除した場合は皮膚の引きつれや変形が生じることがあるため、術後のケアとリハビリが重要です。
レーザー治療の場合、色素が薄くなるまでに複数回の照射が必要で、治療後も一時的な赤みや色素沈着がみられることがあります。また、レーザー治療は再発する可能性もあるため、医師と十分に相談する必要があります。
どちらの治療法を選んでも、メラノーマへの進行リスクが完全にゼロになるわけではないため、定期的な経過観察が不可欠です。
先天性色素性母斑に関するよくある質問
ここでは、先天性色素性母斑に関するよくある質問に回答します。気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
先天性色素性母斑を放置するとどうなりますか?
先天性色素性母斑は基本的に良性の病変ですが、放置した場合に懸念されるのは悪性腫瘍であるメラノーマへと進行するリスクです。特に、大型の先天性色素性母斑は、がん化するリスクが高まる傾向にあります。
メラノーマは進行が早く転移しやすいため、早期発見と治療が不可欠です。良性のまま経過することも多いですが、変化に気づかずに放置すると発見が遅れる可能性があります。
先天性色素性母斑が発生する原因は何ですか?
先天性色素性母斑が発生する原因は、皮膚の色素細胞であるメラノサイトが異常に増殖し、特定の部位に集まるためと考えられています。ただし、具体的に何が異常を引き起こすのかは、まだ完全には解明されていません。
遺伝的な要因が関与している可能性も示唆されていますが明確ではなく、偶発的な可能性があると捉えられています。
以下の記事では生まれつきあるあざについて詳しく解説しています。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
先天性色素性母斑は赤ちゃんの時期から手術できますか?
先天性色素性母斑の手術は、赤ちゃんの時期から実施されることがあります。赤ちゃんのうちに手術することで、悪性化する確率を下げるうえに、痕が残りにくくなります。
また、見た目による影響もないため、成長して先天性色素性母斑による精神的なストレスを抱えることもありません。年齢が上がるほどに改善しにくい傾向にあるため、医師と相談して早めの手術を検討すると良いでしょう。
先天性色素性母斑は治療後再発しますか?
先天性色素性母斑の治療後に再発する可能性は、選択した治療方法によって異なります。レーザー治療は色素を薄くすることが目的で、メラノサイトそのものを除去するものではありません。そのため、レーザー治療は施術後に再発や色素が再び濃くなる可能性があります。
手術による完全切除が行われた場合の再発はまれですが、広範囲にわたる母斑は一度にすべてを切除しきれない場合があります。また、皮膚の深い層にメラノサイトが残存していると、時間と共に再び現れる可能性もあります。
先天性巨大色素性母斑になる確率はどれくらいですか?
先天性巨大色素性母斑が発生する確率は、出生児2万人あたりに1人程度とされています。ただし、この確率は天性色素性母斑全体の中でも大型に限定したものです。小型や中型の先天性色素性母斑と比較すると、大型の発生確率は低い傾向にあります。
大型はまれな疾患のため、診断や治療においては専門的な知識と経験を持つ医療機関での受診が必要です。
当院はあざを専門の1つとするクリニックのため、まれな疾患でも受診可能です。形成外科や再建外科、美容外科の経歴を持つ医師が、適切な治療を提案します。小さな子どもから大人まで寄り添ったカウンセリングを心がけているため、安心してご利用ください。
>>東京でほくろ治療をするなら皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷
先天性色素母斑は遺伝しますか?
先天性色素性母斑は、遺伝しないとされています。この病変は胎児期にメラノサイトが異常に増殖することで発生しますが、親から子へ受け継がれる明確な報告はありません。
まれな遺伝性疾患と関連して色素斑がみられることもありますが、先天性色素性母斑とは異なる疾患です。そのため、先天性色素性母斑があるからといって、将来の子どもも同じように発症する心配はないでしょう。
先天性色素母斑は何科で受診するべき?
子どもの先天性色素性母斑を相談したい場合、皮膚科か形成外科を受診するのが適切です。あざやほくろの専門的な知識と経験を持つ皮膚科専門医、または形成外科が望ましいです。
これらの科では、正確な診断に必要な設備と専門知識があります。子どもの母斑の見た目や形などに変化がみられた場合は、できるだけ早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
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赤ちゃんや子どもにできるあざには、赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざの4種類があります。同じ色のあざでも、症状が出る場所によって病名や症状、治療方法が異なります。皮ふとあざのお悩みなら、皮ふと子どものあざクリニックにご相談ください。
当院では、子どもに特化した治療をしており、これまでの経験を活かして最適な治療方法をご提案いたします。大切なお子様への治療なので、何よりも安全に配慮して治療を行います。また、より前向きに治療をしていただくために、お子様とご両親にわかりやすい説明を心がけています。
「将来子どもにあざのことで悩ませたくない」と考えているご両親は、ぜひ皮ふと子どものあざクリニックにご相談ください。
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まとめ
この記事では、先天性色素性母斑の詳細を解説しました。先天性色素性母斑はメラノサイトの異常増殖によって生じる生まれつきのあざで、症状は大きさや色、形状など多岐にわたります。
大型の先天性色素性母斑においては、メラノーマへと進行リスクがあるため注意が必要です。治療法としては手術やレーザー治療がありますが、いずれも専門医との慎重な相談が必要となります。
治療後も、再発の可能性やメラノーマのリスクを考慮し、長期的な経過観察が重要となります。この記事を参考に、先天性色素性母斑を正しく理解し、不安な場合は専門医を受診して適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医