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生まれつきのあざを消す方法はある?保険適用できるかどうかも解説

生まれつきのあざには、自然に消えるものと消えないものがあります。そんな生まれつきのあざですが、「消す方法を知りたい」「保険適用になるかどうかを知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、生まれつきのあざを消す方法について解説します。また、保険適用が可能な生まれつきのあざや保険適用外となる生まれつきのあざも併せて紹介します。

この記事を読めば、生まれつきのあざを消す方法について理解できるので、あざを消したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

生まれつきのあざを消す方法

生まれつきのあざを消す方法としては、レーザー治療や切除術などが挙げられます。ただし、あざの種類や範囲、治療を受ける方の年齢によって治療方法が異なります。

ここからは、あざを消す方法として代表的なレーザー治療と切除術について解説します。

レーザー

レーザー治療は、皮膚にある色素や血管にレーザーを当てて、あざを薄くする治療法です。あざの種類は、赤・青・茶・黒色に分けられますが、あざの種類や深さに応じて、違う種類のレーザーが使用されます。

レーザー治療は体への負担がや痛みが少ないのが特徴です。施術は数分から30分程度で終わりますが、あざを消すためには数回の施術が必要になります。治療を受けるタイミングやスケジュールは、医師と相談して決めると良いでしょう。

ここからは、治療に使われるCO2レーザーとQスイッチレーザー、ダイレーザーについて解説します。

CO2レーザー治療

CO2レーザー治療は、10600nmの波長で肌内部の水分と反応する仕組みのレーザーです。レーザーを照射すると、肌内部の水分が反応して、熱エネルギーが発生するのが特徴です。

茶色いあざや小さな赤いあざに効果があり、1回の治療で目に見える改善が期待できます。CO2レーザーは肌表面のあざや小さなあざに効果的ですが、肌の深い部分にあるあざや広範囲のあざには適さない場合もあります。

Qスイッチレーザー治療

Qスイッチレーザーは、皮膚の深層にあるメラニン色素に作用するレーザーです。特に、茶色いあざや青あざの治療に適しています。色素沈着がある部分に反応するため、周囲の健康な組織へのダメージが少なく、安全性が高い治療法です。

施術後、あざの色が一時的に濃くなることがありますが、色素が破壊されて体外に排出される過程でよく見られる反応のため心配する必要はありません。数週間後にはあざが薄くなり、数回の治療で効果を実感できるでしょう。

Qスイッチレーザー治療は特に子どもにも適用可能なレーザーで、治療開始が早いほど効果を実感できます。生まれつきのあざを消すのに適している治療といえるでしょう。

ダイレーザー

ダイレーザーは、血管性のあざや赤みを伴う皮膚疾患に効果的なレーザーです。単純性血管腫や毛細血管拡張症、いちご状血管腫の治療に選択されます。

ダイレーザーは血管を収縮させ、赤みを軽減しますが、血管にのみ作用することから、周囲の健康な組織にはほとんど影響を与えません。そのため、安全性が高く、ダウンタイムが少ない治療法として広く利用されています。

また、照射時には皮膚の表面を冷却しながら行うため、治療中の痛みや施術後の赤み・腫れを最小限に抑えます。治療効果は個人差がありますが、約5回治療をするのが一般的です。1回の治療で明らかな改善が見られる場合もあります。

切除術

切除術は、範囲が広いあざやレーザー治療で改善が難しいあざに適応される治療法です。外科的にあざを取り除いたり、皮膚移植をしたりして改善を測ります。

切除術は、皮膚の深い部分にある黒色のあざや巨大色素性母斑に適しており、悪性のリスクがあるあざを切除する場面で選択されます。

切除術は一度の手術で効果が得られることが多く、長期的なメンテナンスが不要な点がメリットです。ただし、術後のケアや経過観察が重要であるため、信頼できる医師と相談して進めることが大切です。切除後は傷跡が残ります。

保険適用が可能な生まれつきのあざ

以下の生まれつきみられるあざには、保険が適用されます。

  • 【赤あざ】単純性血管腫
  • 【赤あざ】いちご状血管腫(乳児血管腫)
  • 【赤あざ】毛細血管拡張症
  • 【青あざ】太田母斑・伊藤母斑・ADM
  • 【青あざ】異所性蒙古斑
  • 【茶色いあざ】扁平母斑
  • 【茶色いあざ】カフェオレ斑

健康に影響を与える可能性がある場合や、美容目的ではなく機能的に問題がある場合に保険が適用されることもあります。

ここからは、保険適用可能なあざを詳しく解説します。

【赤あざ】単純性血管腫

単純性血管腫は、生まれつき皮膚に現れる赤い平らなあざで、「ポートワイン母斑」とも呼ばれます。単純性血管腫の種類は、以下の3つです。

  • 局所性血管腫
  • 広範囲性血管腫
  • 合併症を伴う血管腫

局所性血管腫は症状が現れる部位が限定的で、顔や首など目立つ部位にみられることが多いのが特徴です。範囲が狭い場合は、治療が比較的短期間で済みます。顔の片側全体や体の広い範囲に広がる血管腫は広範囲性血管腫と呼ばれ、治療に時間がかかり、複数回の施術が必要です。

合併症を伴う血管腫は、深部組織や臓器に影響を及ぼす血管腫で、目や口周辺にできた場合は機能障害を引き起こすことがあります。

単純性血管腫は保険適用であり、治療にはダイレーザーが用いられるのが一般的です。

早期治療が効果的であり、小さい頃に治療を始めることで、改善が期待できます。あざの位置や広がりによっては複数回の治療が必要ですが、保険適用による費用負担の軽減が可能です。

【赤あざ】いちご状血管腫(乳児血管腫)

いちご状血管腫は、生後数週間から数か月以内に現れる赤いあざです。小さな赤い斑点から始まり、成長とともに隆起し、目立つ形状になることがあります。

多くは5〜7歳ごろまでに自然に小さくなることもありますが、目や口周りなど機能的に影響を及ぼす部位にできた場合や、急速に成長している場合には治療が必要です。治療にはプロプラノロール内服薬やダイレーザーが用いられます。

【赤あざ】毛細血管拡張症

毛細血管拡張症は、皮膚表面の血管が異常に拡張することで発生する赤いあざです。顔や首など目立つ部位にできやすく、温度変化や感情の影響で赤みが強くなることがあります。

治療にはCO2レーザーやパルスダイレーザーが用いられ、血管を収縮させることで赤みを軽減します。美容目的での治療の場合は保険適用外となる場合がありますが、症状が顕著で日常生活に支障をきたす場合には保険適用が認められることがあります。

【青あざ】太田母斑・伊藤母斑

太田母斑は顔、伊藤母斑は肩や背中に発生する青や青紫色のあざです。皮膚の深層にメラニン色素が沈着することで発生し、自然に消えることはほとんどありません。思春期以降に、目立ちやすくなります。

治療にはQスイッチレーザーが有効で、深い色素細胞に直接作用してあざを薄くします。保険適用が認められており、3〜5回の施術を通じて目立ちにくくすることが可能です。

【青あざ】異所性蒙古斑

異所性蒙古斑は、通常はお尻や腰に見られる蒙古斑が顔や腕・足など、他の部位に現れるあざです。青や灰色がかった色で、通常の蒙古斑と異なり、自然に消えにくいのが特徴です。

治療にはQスイッチルビーレーザーが使用され、保険適用で治療が受けられる場合があります。施術後は一時的に色が濃く見えることがありますが、数回の治療を通して徐々に薄くすることが可能です。

【茶色いあざ】扁平母斑

扁平母斑は、肌の表面にできる茶色の平らなあざで、境界がはっきりとしているのが特徴です。自然に消えることは少なく、見た目が気になることから治療を希望する方が多くいます。

Qスイッチレーザーによる治療が一般的で、あざを薄くすることが可能です。大きなあざや再発のリスクがある場合でも、適切な施術により改善が期待できます。扁平母斑の治療は保険が適用されることがありますが、美容目的の場合は自己負担となる場合があります。

【茶色いあざ】カフェオレ斑

カフェオレ斑は、淡い茶色の平らなあざで、子供の肌に1つまたは複数見られるのが特徴です。1〜2個であれば問題はありませんが、複数見られる場合は神経線維腫症1型との関連が疑われます。

保険適用外となる生まれつきのあざ

保険適用外となる生まれつきのあざは、美容目的での治療となる場合に適応されます。保険適応外となるあざは、以下のとおりです。

  • 蒙古斑
  • 青色母斑
  • 黒あざ(色素性母斑)

それぞれ詳しく解説します。

蒙古斑

蒙古斑は、新生児の背中やお尻にみられる青みがかったあざです。皮膚のメラニン色素が真皮に沈着することで発生します。成長とともに自然に消失するのが特徴です。

蒙古斑の治療が必要な場合にはQスイッチレーザーが使用されます。

青色母斑

青色母斑は、皮膚の深い部分にあるメラニン色素が集まってできる青や青いあざです。顔や四肢など目立つ部位にできることが多い傾向にあります。

治療には、Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーが適用されます。レーザーは深い部分の色素に作用するため、継続的な治療をすることが有効です。青色母斑も蒙古斑と同様に、美容目的の治療とされるため、保険適用外となるケースがほとんどです。

黒あざ(色素性母斑)

黒あざ(色素性母斑)は、メラニン色素が過剰に生成され、皮膚に黒色の斑点として現れるあざです。生まれつきあざがみられる場合もあれば、幼少期に目立つようになることもあります。あざの大きさや形状は個人差があり、巨大な色素性母斑は悪性化のリスクがあるため、定期的な観察が必要です。

治療にはレーザー治療や切除術が選択されます。広範囲に及ぶ場合は手術が必要ですが、保険適用外となることが多いため、治療費は自己負担となります。

生まれつきのあざを消す方法に関するよくある質問

最後に、生まれつきのあざを消す方法に関するよくある質問を紹介します。

生まれつきのあざはクリームで消せますか?

クリームであざを完全に消すことは難しいかもしれません。一部の美白クリームや色素沈着を改善する製品が効果を示す場合もありますが、あざの深さや種類によっては効果が限定的です。

特に、異所性蒙古斑などの深い部分に色素沈着をしているあざに関しては、レーザー治療がおすすめです。

生まれつきのあざを消すには何科を受診すれば良いですか?

あざの治療を希望する場合、まずは皮膚科または形成外科を受診しましょう。あざの診断や軽度の治療は皮膚科、外科的処置や高度な治療が必要な場合は形成外科を受診するのがおすすめです。

病院選びに迷った場合は、あざの種類や状態を説明して総合病院の外来で相談するのも良いでしょう。

保険適応とならないあざを消す方法とはなんですか?

保険適用外のあざを消す方法には、レーザー治療やクリームの使用、さらには外科的切除があります。レーザー治療はあざの色素に直接作用し、複数回の施術で改善が期待できます。

費用は自己負担ですが、あざの種類に適した方法を選ぶことで、効果を最大限に引き出せるでしょう。

あざを消す方法のレーザー治療の費用相場はどれくらいですか?

レーザー治療の費用は、あざの種類や範囲、治療回数によって異なります。1回の施術費用は1万円〜5万円程度が一般的で、複数回の治療が必要な場合は総額で10万円を超えることもあります。

保険適応であれば3割負担で済みますが、保険適用外の場合は全額自己負担となるため、治療計画を医師としっかり相談することが重要です。

まとめ

この記事では、生まれつきのあざを消す方法を紹介しました。

生まれつきのあざを消すには、レーザー治療や切除術が有効です。CO2レーザーやQスイッチレーザー、ダイレーザーは、あざの種類ごとに使い分けられます。一方で、切除術は特に大きなあざや深いあざに効果的です。

保険適応が可能なあざには単純性血管腫、乳児血管腫・太田母斑・扁平母斑などが含まれ、早期に治療を開始することで高い効果を期待できます。

一方で、蒙古斑や青色母斑・色素性母斑などの保険適応外のあざは、美容目的で治療が行われるため、自費診療となります。

この記事を参考に、最適な治療方法を選択しましょう。

 

記事監修者プロフィール

院長 杉本 貴子

院長杉本 貴子

Sugimoto Atsuko

経歴
  • お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
  • 獨協医科大学 卒業
  • 国立国際医療研究センター 初期研修
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
  • 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長

【関連病院】

  • 東京美容医療クリニック
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
資格
  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
  • 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
  • アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
  • クールスカルプティング 認定医
こどものアザは保険適用で治療できます。

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