赤ちゃんや子供の茶色いあざの原因を紹介!突然できるあざや生まれつきみられるあざ・増えるあざについても解説
茶色いあざは、シミのようにみえるのが特徴です。そんな茶色いあざについて「突然できた茶色のあざは何が原因か知りたい」「生まれるきみられる茶色いあざは消えるのか気になる」と思う方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、赤ちゃんや子供にできる茶色いあざの原因を解説します。また、突然できるあざや生まれつきみられるあざ・増えるあざも併せて紹介します。
この記事を読めば、赤ちゃんや子供のあざについて理解できるので、子供の消えない茶色いあざを早く治したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
赤ちゃんや子供の茶色いあざの主な原因
茶色いあざは、皮膚に現れる色素沈着やメラニン細胞の異常が主な原因です。生まれつき見られるものや成長とともに現れるもの、突然発生するものなど、様々な種類がありますが、扁平母斑や表日母斑であるケースが多く見受けられます。
ここからは、扁平母斑と表皮母斑を詳しく解説します。
扁平母斑
扁平母斑は肌の表面に見られる茶色の平らなあざで、生まれつき見られることが多いですが、成長とともに目立つようになる子どももいます。扁平母斑は、均一な色調と境界が明確であるのが特徴で、形状や大きさは個人差があります。
扁平母斑は、体に影響を与えることはないため、医学的な治療が必要になることは少ないです。
しかし、サイズが非常に大きかったり、目立つ場所にあったりする場合は、美容的な理由で気にする方も少なくありません。
扁平母斑が複数ある場合や増加する場合には、神経線維腫症1型などの遺伝性疾患や他の症状との関連が考えられるため注意が必要です。家族に同様の症状がある場合や他の体調不良がみられる場合には、小児科や皮膚科で専門医の診察を受けることをおすすめします。
表皮母斑
表皮母斑は、茶色や褐色の斑点が見られるあざで、生まれつき存在する場合と後天的に現れる場合があります。表皮の一部でメラニン色素が異常に蓄積し、境界が不規則な模様を形成するのが特徴です。
表皮母斑は顔や腕・胴体など、目立つ箇所にできることが多く、成長とともに面積が広がる場合もあります。体への影響はありませんが、外見が気になる場合には治療が可能です。治療法には、レーザー治療や切除手術が用いられます。美容目的での治療が多いため、費用は保険適用外となることが一般的です。
ただし、表皮母斑はまれに遺伝性疾患や皮膚癌と関連するケースもあるため、長期間変化が見られる場合や、急激に大きくなる場合は医師の診察を受けるようにしましょう。
【ケース別】赤ちゃんや子供の茶色いあざの原因
赤ちゃんや子供の茶色いあざは、徐々に増えたり、片側だけにみられたりします。それぞれ原因が異なるため、思い当たる症状がないかチェックしてみてください。
ここからは、ケース別に考えられる原因と対処法を解説します。
徐々に増える茶色いあざ
徐々に増える茶色いあざは、カフェオレ斑である可能性があります。カフェオレ斑は、淡い茶色の斑点が、体のさまざまな部位に現れることが特徴です。1〜2個程度であれば健康に影響を与えることはありません。
しかし、6個以上のカフェオレ斑が確認される場合は、神経線維腫症1型(NF1)が疑われます。神経線維腫症1型は遺伝性疾患であり、皮膚だけでなく神経や骨など全身に影響を及ぼす可能性があるため、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。また、神経線維腫症1型はカフェオレ斑以外にも、虹彩小結節や神経腫瘍などの症状が現れることがあるため、早期の診断と適切な管理が重要となります。
家族に神経線維腫症1型の既往歴がある方がいたり、他の症状が伴ったりする場合は、遺伝子検査が行われることもあります。健康に大きな影響を及ぼす可能性もあるため、注意深く観察し、早期の対応を心掛けることが大切です。
顔の片側にみられる茶色いあざ
顔の片側にみられる茶色いあざとして代表的なものが、太田母斑です。茶色の斑点が頬や額、目の周囲に現れることが多く、通常は片側に限定されるのが特徴です。太田母斑は生まれつき現れる場合もあれば、思春期以降に目立ち始める場合もあります。
また、太田母斑は皮膚の深い部分にメラニン色素が沈着しているため、自然に消えることはほとんどありません。紫外線を浴びることで色が濃くなることがあるため、紫外線対策が求められます。
太田母斑が健康に直接影響を与えることはありませんが、外見の変化が本人や家族に心理的な負担を与えることもあります。顔の片側に見られる茶色いあざを発見した場合、まずは専門の皮膚科や形成外科を受診し、詳しい診断を受けるのが良いでしょう。
生まれつきみられる・突然できる茶色いあざ
茶色いあざは、生まれつきみられるものと、成長や外的要因により突然できるものがあります。生まれつき茶色いあざがある場合は、先述した扁平母斑や表皮母斑が挙げられます。
一方、成長に伴い突然現れる茶色いあざには、カフェオレ斑や特定の遺伝性疾患の可能性もあることから注意が必要です。茶色いあざは自然に消えることがほとんどありません。
茶色いあざが急に増えたり、形が変わる場合には専門医の診察を受け、適切な処置を受ける必要があります。
扁平母斑や神経線維腫症などの茶色いあざの診断方法
茶色いあざの診断は、主に目視検査と医療機器を用いた詳細な観察によって行われます。扁平母斑の場合、色調が均一で境界が明瞭であることが特徴で、視診によって簡単に識別できるのが特徴です。
一方、神経線維腫症が疑われる場合、カフェオレ斑が6個以上存在するかどうかが重要な判断基準となります。神経線維腫症に関する症状が2つ以上みられる場合は診断が確定されますが、「カフェオレ斑が6個以上みられない」など、診断が確定しない場合は遺伝子検査をするのが一般的です。
万が一複数の症状が現れる場合には、他の疾患の可能性も含めて総合的な診断がなされます。必ず、専門医の診察を受けることで、正確な診断が下るでしょう。
赤ちゃんや子供の茶色いあざの治療法
茶色いあざの治療には、症状の種類や患者の年齢に応じて、レーザー治療・皮膚凍結療法・皮膚削皮術・トレチノイン治療などが用いられます。
各治療法を詳しく解説します。
レーザー
レーザー治療は、茶色いあざの色素を分解し、目立たなくする方法です。Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーが使用されます。
レーザー治療は、皮膚の深部に沈着したメラニン色素に直接作用するため、表皮から真皮までのあざに対応可能です。
施術は数回にわたることが多く、治療回数はあざの大きさや深さによって異なります。1回の治療後に完全にあざが消えるわけではなく、間隔を空けて複数回の施術を行うことで徐々に薄くなります。
レーザー治療は比較的負担の少ない治療法であり、美容目的でもよく使用されます。ただし、赤ちゃんや子どもの皮膚は薄いため、事前に医師と相談して適切な治療計画を立てることが重要です。
皮膚凍結療法
皮膚凍結療法は、液体窒素を使用して皮膚の一部を凍結し、細胞を破壊する方法です。浅い層のあざや、色素沈着が軽度な場合に有効とされています。施術中に一時的な痛みや赤みを伴うことがありますが、比較的短時間で終わるのが特徴です。
凍結療法は、皮膚の再生を促しながら色素を薄くする効果が期待できます。ただし、深い層にまで達するあざには効果が薄く、適応症例は限られるため、医師と最適な治療法を相談することが重要です。
皮膚削皮術
皮膚削皮術は、専用の器具を使用して、皮膚の表層部分を削り取る治療法で、浅い層のあざや傷跡・色素沈着に対して用いられます。皮膚の表面を削ることで、新しい皮膚の再生を促し、色素を目立たなくする効果が期待できるのが特徴です。
短期間で効果が得られることが多いものの、感染予防やせ術部位を清潔を保つ・紫外線を避けるなどの施術後の適切なケアが求められます。
術後にはダウンタイムが発生する場合があるため、施術を受けるタイミングを考慮する必要があります。
トレチノイン治療
トレチノイン治療は、ビタミンA誘導体であるトレチノインを用いて、皮膚のターンオーバーを促進し、茶色いあざを薄くする方法です。レチノインは、皮膚の新陳代謝を活性化させることで、メラニンの排出を促進し、あざを徐々に目立たなくします。
トレチノイン治療は、浅い層の色素沈着や扁平母斑などに適していますが、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。また、トレチノインは肌を乾燥させることがあるため、保湿ケアをしっかり行うことが大切です。
トレチノイン治療は、比較的手軽で負担が少ない治療法ですが、効果には個人差があり、医師と相談しながら治療を進めることが重要です。
赤ちゃんや子供にみられる茶色以外のあざ
赤ちゃんや子供には、茶色以外にも赤・青・黒色のあざが見られることもあります。先天性のあざだけではなく、血管や色素細胞の異常、外傷などが原因で発生することがあるため、前もって把握しておくと良いでしょう。
ここからは、茶色以外のあざを詳しく解説します。
赤あざ
赤あざは、血管の異常によって皮膚が赤く見える状態です。生まれつき現れるものや成長とともに目立つものがあり、あざの種類によって、症状や治療法が異なります。
代表的な赤あざは、以下の3つです。
- いちご状血管腫
- 単純性血管腫
- 正中部母斑
それぞれ特徴を詳しく解説していきます。
いちご状血管腫
いちご状血管腫は、赤ちゃんの皮膚に現れるいちごのような見た目をした赤あざで、表面が隆起しているのが特徴です。生後数週間で現れることが多く、1歳前後が最も目立ちます。成長とともに小さくなり、約7割が学童期までに自然に消えます。
ただし、あざが大きく広がる場合や、目や鼻・口など重要な部位にできた場合は、生活に影響を及ぼす可能性があるため、治療が必要なこともあります。経過観察が基本ですが、必要に応じて薬物療法や医師の診察を受けて適切な対応が行われることがあります。
単純性血管腫
単純性血管腫は、平らで境界がはっきりしている赤あざで、生まれつき皮膚に現れるのが一般的です。サーモンパッチやポートワイン母斑などの種類があります。
サーモンパッチは成長とともに消えることが多いですが、ポートワイン母斑は自然には消えず、経過観察や治療が必要となる場合があります。
正中部母斑
正中部母斑は、首の後ろや額・まぶたなどに見られる薄い赤色のあざで、ストークマークやエンジェルキスと呼ばれることもあります。c成長に伴って、自然と目立たなくなることがほとんどで、特別な治療を必要としません。
ただし、大きな変化が見られることもあるため、経過観察が推奨されます。健康に影響はありませんが、美容的な理由で気になる場合は医師に相談すると良いでしょう。
青あざ
青あざは、皮膚の深い部分に色素が沈着して青や青紫に見えるあざです。代表的な青あざは、以下の3つです。
- 蒙古斑
- 太田母斑
- 外傷性色素沈着
それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
蒙古斑
蒙古斑は、東アジア系の赤ちゃんに見られる青あざで、お尻や腰の周囲に現れます。通常は5~6歳頃までに自然に消えるため、治療は不要ですが、他の部位に見られたり・広がったりしている場合は医師の診察を受けることが重要です。
お尻や腰以外の蒙古斑は、異所性蒙古斑と呼ばれます。
太田母斑
太田母斑は、顔や目の周囲に青色のあざが現れる状態で、片側に限定されることが一般的です。蒙古斑と異なり、自然に消えることはありません。幼少期に目立たない子どもも、成長とともに濃くなる場合があります。
美容的観点で治療を検討するケースが多いですが、目元に近い場所に現れることから、気になる方は専門医と相談し、適切な対応を取ることが重要です。
外傷性色素沈着
外傷性色素沈着は、怪我や打撲が原因で皮膚の色素が沈着し、青や茶色に見える状態です。皮膚に刺激が加わることで色素が深く定着し、長期間残る場合があります。浅い沈着であれば自然に薄くなりますが、深い場合は改善に時間がかかることもあります。
長期間消えない場合は医師に相談しましょう。
黒あざ
黒あざは、皮膚に見られる濃い色のあざで、先天性メラノサイト母斑が原因として挙げられます。メラニン色素が密集しているため、濃い黒色にみえるのが特徴です。先天性メラノサイト母斑は生まれたときから見られますが、大きさや形状には個人差があります。
まれに、悪性化のリスクがあるとされているため、大きさや形状が変化した場合は専門医の診察を受け、定期的に観察することが大切です。
まとめ
この記事では、赤ちゃんや子どもにみられる茶色いあざについて解説しました。
茶色いあざは、扁平母斑や表皮母斑などが代表的です。生まれつき現れるものから、徐々に増えるなど、経過は一人ひとり異なります。
体や顔の片側に現れる茶色いあざや突然できるあざは、遺伝性疾患や他の病気の可能性が考えられるため、専門医の診察を受けるのがおすすめです。
茶色いあざの治療法としては、レーザー治療や皮膚凍結療法・削皮術・トレチノイン治療などが選択肢として挙げられます。レーザー治療やトレチノイン治療は、赤ちゃんや子どもの治療に適していない可能性があるため、医師と相談して最適な治療計画を立てることが重要です。
この記事を参考に、子供の健康や美容に配慮した最良の選択をしましょう。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医