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生まれつきみられる赤あざの原因とは?赤あざの種類や治療方法・治療費用・副作用などを解説

赤あざが生まれつきある場合、原因がわからず不安に思う方も多いでしょう。赤ちゃんや子どもの赤あざは成長とともに広がったり、濃くなったりする場合があるため、注意が必要です。

この記事では、赤あざが現れる原因や赤あざの種類、治療方法や保険適用の有無について詳しく解説します。また、治療の効果や副作用、治療した方が良いケースについても取り上げています。

この記事を読めば赤あざができる原因がわかり、安心できるでしょう。治療を検討している方や不安な方はぜひ参考にしてみてください。

新生児や赤ちゃんに赤あざがある原因

新生児や赤ちゃんにみられる赤あざは、血管の異常により引き起こされることがほとんどです。赤あざは血管腫と呼ばれるものが多く、血管が異常にある場合や、皮膚の表面近くに拡張した血管が現れることで発生します。

赤あざには「いちご状血管腫」や「単純性血管腫」などの種類があり、それぞれの特徴や治療法も異なります。ほとんどの場合は健康に影響しませんが、あざの範囲が広がったり、盛り上がりがみられたりする場合は医療機関での診察が必要です。

赤ちゃんのデリケートな肌に現れる赤あざに不安を感じている方は、適切な診断と対処法を知ることで、安心して治療に取り組めるでしょう。

生まれつきある赤あざの種類

赤あざの種類は以下のとおりです。

  • いちご状血管腫(乳児血管腫)
  • 単純性血管腫
  • 毛細血管拡張症
  • 酒さ

1つずつ詳しく解説します。

いちご状血管腫(乳児血管腫)

いちご状血管腫は、新生児期から乳児期にかけて現れる赤あざの一種で、正式には「乳児血管腫」と呼ばれます。名前のとおり、いちごのように赤く盛り上がった形状が特徴的です。

いちご状血管腫は出生時に目立たない場合が多いですが、血管が異常に増殖したことによって発生し、生後数週間から数ヶ月の間に大きくなる場合もあります。通常は成長とともに縮小し、学童期になるころには目立たなくなるケースがほとんどです。

ただし、大きさや場所によっては視覚や呼吸、食事などに影響を与える場合もあります。症状がみられた場合は医師の診断を受け、適切な治療方針を決めましょう。

単純性血管腫

単純性血管腫は平らで赤紫色をした、「ポートワイン血管腫」とも呼ばれるあざです。このあざは、皮膚の深い部分にある血管が異常に拡張していることが原因で現れ、主に顔や首、手足などにみられます。

単純性血管腫が自然に消えることはなく、成長とともに色が濃くなり、大人になるとふくれる場合があります。治療にはレーザー治療が効果的で、早期に始めることで色素を薄くし目立たなくすることも可能です。ただし、治療は数回に分けて行われるのが一般的です。

毛細血管拡張症

毛細血管拡張症は、皮膚表面に蜘蛛の巣状や糸状に赤い血管が浮き出る症状です。この症状は顔や首、手足などにみられ、生活習慣やホルモンバランスの変化によって悪化する場合があります。

毛細血管拡張症は、美容面で悩みにつながりますが、健康に大きな影響を与えることはほぼありません。ただし、他の皮膚疾患が隠れている場合もあるため、医師の診断が必要です。

治療方法には、レーザー治療やスキンケアの見直しなどがあります。レーザー治療は拡張した血管に光を照射し、血管を収縮させることが可能です。治療後はケアを適切に行い、肌の健康を保ちましょう。

酒さ

酒さは顔の中心部、頬や鼻周辺に赤みが現れる症状で、毛細血管が拡張することが原因です。この症状は、大人に現れることがほとんどですが、まれに小児にもみられます。

酒さは炎症やストレス、紫外線やホルモンバランスの変化などが引き金となって悪化する場合があります。症状が進行すると、皮膚が厚くなったり、赤みがより目立つようになったりするため、早期の治療が重要です。

治療にはレーザー治療や薬物療法が用いられるのが一般的で、スキンケアも併用すると、症状を改善できる可能性があります。

生まれつきある赤あざの治療方法

赤あざの治療方法は以下のとおりです。

  • 平坦な赤あざはVビーム
  • 深い赤あざはVビームと薬物治療を併用
  • 手術が必要な場合も
  • 自然治癒するケース

1つずつ詳しくみていきましょう。

平坦な赤あざはVビーム

平坦な赤あざには、Vビームレーザー治療が効果的です。Vビームレーザーは、血管に吸収される特定の波長を使用して、赤みの原因である拡張した血管を収縮させます。レーザー治療法は痛みが少なく、肌への負担を最小限に抑えられる点が特徴です。

Vビームレーザーはいちご状血管腫や単純性血管腫、毛細血管拡張症などの赤あざに向いていますが、1回の施術で完全に改善するのは難しく、数回の治療が必要な場合がほとんどです。

治療の頻度は3ヶ月に1回程度が一般的で、治療後は一時的な赤みや腫れがみられることもあります。治療後は効果を最大限に引き出すために、紫外線対策や保湿ケアを徹底することが大切です。医師と相談しながら、計画的に治療を進めましょう。

深い赤あざはVビームと薬物治療を併用

赤あざのうち、いちご状血管腫が深部にまで達していてレーザーが届かない場合、Vビームと薬物治療の併用が選択肢となる場合もあります。薬物治療には、β遮断薬(プロプラノロール)を有効成分としたヘマンジオルシロップが用いられることがほとんどです。

ヘマンジオルシロップは血管を収縮させる効果があり、厚生労働省に認証されてからはいちご状血管腫にも用いられるようになりました。ただし、治療の副作用として低血圧や低血糖が起こる可能性があるため、医師による定期的な経過観察が必要です。

薬物治療は症状が進行している場合や、赤あざが視覚や呼吸に影響を及ぼす場合などにも用いられます。

手術が必要な場合も

広範囲に広がる赤あざや、皮膚が盛り上がる場合には、外科的治療が施される場合もあります。単純性血管腫や深い赤あざに対しては、切除術や血管結紮術が一般的です。

手術は一度で改善する場合もありますが、傷跡が残る可能性や術後のダウンタイムが伴うため、事前にリスクを理解しておく必要があります。

手術後は、適切なアフターケアと医師の指導のもとで回復を目指すことも重要です。手術が適用されるかどうかはあざの状態や患者の希望によるため、専門医と相談しましょう。

自然治癒するケース

いちご状血管腫は、生後数ヶ月までに大きくなりますが、その後は縮小していきます。多くの場合、学童期までには目立たなくなりますが、凹凸や赤みが残存する可能性もあるため、新生児期からの治療が推奨されています。

自然治癒が期待できるかどうかは、あざの種類や場所、広がり具合によって異なるため専門医による診断が必要です。いちご状血管腫を見つけた場合はご自身で判断せず、早めに医師に相談しましょう。

自然治癒が期待される場合でも、あざの状態を定期的にチェックし、必要に応じて治療に移行できるよう準備しておくと安心です。

生まれつきある赤あざの治療の流れ

赤あざの治療は、医療機関で適切なプロセスを経て行われます。以下に一般的な治療の流れを紹介します。

1. 初診・カウンセリング
初めに、皮膚科や美容皮膚科を受診し、専門医による診察を受けます。カウンセリングでは、赤あざの種類や状態を確認し、治療方針を立てます。初診やカウンセリングの段階で治療の効果やリスク、副作用について説明される場合も多いため、事前に疑問点をリストアップしておくと良いでしょう。

2. 診断と治療計画の作成
赤あざの大きさや深さ、発生部位に基づいて選定されます。平坦な赤あざにはレーザー治療、深部に及ぶ場合は薬物療など、最適な治療方法法や外科的手術が提案されます。治療回数や費用についてもこの段階で聞いておきましょう

3. 治療の実施
治療は基本的に外来で行われます。レーザー治療の場合、照射時間は数分から10分程度の短時間で終了します。痛みを感じる場合には、表面麻酔を使用することも可能です。

4. 経過観察とアフターケア
治療後は、皮膚の炎症や赤みが生じることがありますが、これらは数日から1週間程度で落ち着きます。治療の効果を確認するため、定期的に診察を受けましょう。

治療の流れはクリニックや個人の症状によって異なるため、専門医と相談しながら進めてください。

生まれつきある赤あざの治療の効果

赤あざ治療の主な方法であるレーザー治療は、血管内のヘモグロビンに反応して、血管を収縮し消失させる効果があります。

また、レーザー治療は正常な皮膚への影響が少なく、安全性が高い特徴もあります。さらに、治療により赤あざが薄くなることで美容的な悩みが軽減され、自信を取り戻せる効果も期待できるでしょう。

一部の赤あざは治療後に再発する可能性がありますが、適切なメンテナンスで、効果を長持ちさせることも可能です。治療の効果には個人差がありますが、専門医による適切な治療を受けることで、改善が期待できます。

生まれつきある赤あざの治療による副作用

赤あざの治療にはさまざまな効果が期待できますが、副作用やリスクについても理解しておく必要があります。以下に副作用をまとめたので、参考にしてください。

症状 内容
赤みや腫れ レーザー治療後、治療部位に一時的な赤みや腫れが現れることがあります。多くの場合数日から1週間ほどで治まります。
色素沈着・色素脱失 治療部位に色素沈着や色素脱失(皮膚が白くなる)が起こることがあります。これらは時間の経過とともに改善しますが、場合によっては追加の治療が必要になることもあります。
かさぶた 治療後、皮膚にかさぶたができることがあります。無理に剥がさず、自然に取れるのを待つことで、皮膚へのダメージを防げます。
内出血 血管を破壊する治療の性質上、内出血がみられる場合があります。内出血は紫色から黄色に変化しながら、数日から1週間程度で消えるのが一般的です。
痛みやかゆみ 治療後に軽い痛みやかゆみを感じることがありますが、冷却や保湿ケアで軽減できる場合がほとんどです。

治療の副作用は個人差があるため、医師の指示を守りながら適切にアフターケアをしましょう

生まれつきある赤あざの治療費用と保険適用について

赤あざの治療費用や保険の適用範囲について知ることで、治療を検討する際の参考になります。赤ちゃんや子どものあざは保険が適用される場合が多いですが、美容目的での治療には保険が適用されないケースがほとんどです。それぞれ詳しく解説します。

赤ちゃんや子どもあざは保険適用になる場合が多い

いちご状血管腫や単純性血管腫など、赤ちゃんや子どもの皮膚に発生するあざは保険適用の対象となるのが一般的です。さらに、東京23区の場合は、18歳まで無料で治療を受けられます。

保険適用時の費用は、自己負担3割の場合、1回のレーザー治療で数千円から1万円程度が目安です。ただし、治療回数はあざの状態や広さによって異なるため、複数回の治療が必要になる場合もあります。

また、治療を受けるクリニックによっては保険適用範囲が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

保険が適用されない場合にかかる費用

美容目的でする赤あざの治療は、健康保険が適用されない場合があります。保険適用外となる場合の治療費用は全額自己負担となり、1回あたり1万円から5万円程度です。

特に、特殊な治療器具を使用する場合、費用が高額になるため注意が必要です。保険が適用されない治療費用は、クリニックによって異なるため、予算や治療計画に合わせた選択をすることが大切です。

生まれつきある赤あざを治療した方が良いケース

赤あざは自然に消える場合もありますが、以下のようなケースではクリニックでの治療が推奨されています。

  • 成長とともに赤あざが拡大する場合
  • 出血や潰瘍が発生する場合
  • 機能障害を引き起こす場合

赤あざは成長とともに大きくなる場合があり、成長すると美容的な悩みが増すだけでなく、治療が難しくなる可能性があります。

また、赤あざの中には皮膚の表面が薄くなり、傷つきやすい状態になる場合もあります。傷つくことで出血や潰瘍が生じる場合、感染症のリスクもあるために早急な治療が必要です。さらに、目や鼻など機能に影響を与える部位に赤あざがある場合は、視力や呼吸に支障をきたす恐れがあります。

このように、症状の進行や健康への影響が懸念される場合は、早めの治療を検討しましょう。

赤あざの原因に関するよくある質問

ここからは赤あざに関する質問に回答します。ぜひ参考にしてみてください。

大人に赤いあざが突然現れる原因は?

大人になってから突然赤いあざが現れる原因として、皮膚の薄さや血管の破れが挙げられます。加齢とともに皮膚が薄くなり、軽い刺激や圧力で血管が破れやすくなることが原因です。

また、栄養不足や慢性的な疲労、血液をさらさらにする薬などの影響も考えられます。さらに、自己免疫疾患や血液の異常が原因となる場合もあり、血小板減少症や紫斑病などの病気ではあざが突然複数箇所に現れることがあります。

赤あざが繰り返し現れる場合や消えにくい場合は、体のサインとして早めに医療機関で相談してみましょう。

足に赤いあざが突然できる原因は?

足に突然赤いあざが現れる原因は、血流の停滞や外的な刺激が主な要因です。長時間立ち仕事をしたり長く座り続けたりして血流が滞ると、毛細血管に負担がかかって赤いあざが現れる場合があります。

ただし、静脈瘤や血栓性静脈炎といった血管の異常が隠れている場合もあります。これらは足の血流が滞ることで引き起こされ、放置すると症状が進行する恐れもあるため注意が必要です。

足のあざが長期間にわたり続く場合や、他の部位にもあざが出現する場合は、専門医の診断を受けることをおすすめします。

赤いあざは痛くない?

赤いあざは血管芽細胞腫という硬いしこりがある場合、押すと痛みを伴います。血管芽細胞腫は新生児のうちに現れる場合もあれば、成長してみられる場合もあります。

グロムス腫瘍という爪の下にできるあざは、痛みを伴う腫瘍です。グロムス腫瘍は赤というより青みのあるあざとして現れます。

その他の赤いあざは打撲が原因以外、痛みを感じることはありませんが、こすると悪化する場合もあるため気をつけましょう。

まとめ

この記事では、赤あざの原因や種類、治療方法について詳しく解説しました。赤あざは血管の異常によるものが多く、種類によっては自然に消えるケースもあります。一方で、成長とともに広がったり、健康や機能に影響を及ぼしたりする場合には早めの治療が必要です。

治療にはレーザー治療や薬物治療、場合によっては手術が選択肢となります。保険適用の範囲内で治療を受けられる場合がほとんどですが、美容目的では自己負担となる場合もあるため注意が必要です。

治療の際は副作用やリスクを理解し、医師と相談しながら最適な治療計画を立てる必要があります。この記事を参考にして、赤あざが気になる方は早めに専門医に受診してもらい、悪化を防ぎましょう。

記事監修者プロフィール

院長 杉本 貴子

院長杉本 貴子

Sugimoto Atsuko

経歴
  • お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
  • 獨協医科大学 卒業
  • 国立国際医療研究センター 初期研修
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
  • 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長

【関連病院】

  • 東京美容医療クリニック
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
資格
  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
  • 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
  • アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
  • クールスカルプティング 認定医
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