生まれつき茶あざがある原因は?茶あざの種類や治療方法・ダウンタイムなどを解説
生まれつき茶あざがある場合、「このまま放置しても大丈夫?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。特に、子どもの茶あざは成長とともに濃くなったり、広がったりするケースもあるため注意が必要です。
この記事では、生まれつきの茶あざが現れる原因やあざの種類、治療方法について詳しく解説します。また、治療にかかる期間やダウンタイム、生活における注意点も併せて紹介します。
この記事を読めば茶あざに関する疑問が解消できて、適切な治療を選ぶための知識が身につくため、ぜひ参考にしてみてください。
生まれつき茶あざがみられる原因
生まれつきある茶色いあざが現れる原因はさまざまで、めずらしい症状ではありません。ここでは、遺伝や体質、メラノサイトの働きに着目し、それぞれの要因を詳しく解説します。
遺伝や体質
生まれつき茶あざが現れる主な原因の1つとして、遺伝や体質などが挙げられます。茶あざは皮膚に存在する色素細胞(メラノサイト)の活動と関係が深く、メラニンの生成が活発になると、あざとして現れる場合があります。
また、茶あざの扁平母斑(へんぺいぼはん)は、遺伝子の異常で発生する場合もあるようです。生まれつき現れるあざは、成長に伴い濃くなったり増えたりする場合もあります。そのため、皮膚が薄い子どもの時期の治療が推奨されています。
ただし、あざの発症は遺伝や体質だけが原因ではなく、ケガによる外傷性色素沈着の場合もあるため、正確な診断を受けることが重要です。
メラノサイトの働き
茶あざの発症には、メラノサイト(色素細胞)の異常な働きも関係しています。メラノサイトは皮膚に色素を供給する細胞で、通常は紫外線などの刺激に反応してメラニンを生成する組織です。
メラノサイトが局所的に活性化している場合、特定の部位に色素が集中し、あざとして現れることがあります。メラノサイトが作るメラニンは、外部刺激から皮膚を保護する役割を果たしていますが、あざとして定着する場合は注意が必要です。
茶あざは専門医の診断を受け、適切な治療をすることで、改善に期待できます。
生まれつきある茶あざの種類
生まれつきある茶あざには以下の種類があります。
- 扁平母斑(カフェオレ斑)
- ベッカー母斑
- 表皮母斑との違い
1つずつ詳しくみていきましょう。
扁平母斑(カフェオレ斑)
扁平母斑(へんぺいぼはん)はカフェオレ斑とも呼ばれ、淡い茶色から濃い茶色まで、さまざまな色調で現れます。カフェオレ斑は生まれつき現れることもあり、あざの境界がはっきりしている点が特徴です。
大きさは0.2cm〜20cm程度とさまざまで、顔や腕、背中全体などあらゆる部位に現れる可能性があります。単独で存在する場合は問題視されませんが子どもで5mm、大人で15mm以上のあざが6個以上ある場合は、レックリングハウゼン病の疑いがあるため注意が必要です。
また、カフェオレ斑はレーザー治療で薄くできますが、完全に消えるわけではありません。治療の際は専門医の診察を受けて、治療方針を相談する必要があります。
ベッカー母斑
ベッカー母斑は思春期前後に現れることが多い茶あざで、男性に多くみられます。ベッカー母斑は色素沈着と毛の増加を伴う特徴があり、肩や胸、背中などに出現するのが一般的です。
表面にざらつきがあり、境界線がギザギザしている点も特徴的です。発症の原因はメラニンの増加が関係していると考えられており、治療に脱毛レーザーが用いられる場合もあります。
ベッカー母斑は健康への影響がないため、治療は美容目的で行われることがほとんどです。
表皮母斑との違い
茶あざとよく混同される表皮母斑は、新生児や幼児にみられる先天性のあざです。茶あざとは異なり、皮膚の凹凸がある点や、色調が茶色だけでなく赤みを帯びることがある点が特徴的です。
発症の原因ははっきりしておらず、自然に消えることはありません。成長と共に大きくなりますが、悪性になるのはまれです。治療方法は扁平母斑と異なり、外科的切除が中心になります。
茶あざと表皮母斑を見分けるには、専門医の診断が必要です。症状に応じて適切な治療を受けるためにも、まずは医療機関で相談しましょう。
生まれつきの茶あざはそのままでも大丈夫?
生まれつきの茶あざはそのままで問題がないケースもありますが、中には治療が必要な場合もあります。ここでは診断の重要性や茶あざが成長とともに拡大する可能性、定期的な受診の必要性について詳しく解説します。
診断してもらうと安心
茶あざが気になる場合、医療機関で診断を受けると安心です。ほとんどの茶あざは健康への影響がありませんが、一部のあざは病気を知らせるサインの可能性もあります。
また、茶あざの種類によっては、治療による完治が見込める場合もあります。レーザー治療やクリームでの色素除去が可能な場合があるため、専門医への相談が必要です。
あざの診断は、みた目だけでは難しい場合もあります。医師による正確な診断を受けることで、治療の必要性や経過観察の方針が明確になります。まずは皮膚科や美容クリニックに相談してみましょう。
成長と共に拡大する
一部の茶あざは、成長とともに拡大する可能性があります。ベッカー母斑やカフェオレ斑は体の成長に伴ってあざの面積が広がる場合もあるため、気になる方は注意が必要です。
さらに、あざが拡大するだけでなく、色が濃くなったり毛が生えてきたりする場合もあります。これらの変化は、見た目や美容面での悩みにつながるだけでなく、体の成長と共に治療が難しくなりがちです。
皮膚が薄めの子どものうちに診断を受けて適切な治療をすることで、症状の進行を抑えられる可能性があります。あざの成長を見越した計画的な治療を進めるためにも、医師と相談することが重要です。
定期的に受診する
茶あざを放置していても問題がないケースは多いですが、定期的に医師の診察を受けることが重要です。特に、あざの色や形が変化した場合や数が増えた場合は、すぐに受診することをおすすめします。
早めの診断により、病気の可能性を早期に発見できるだけでなく、適切な治療方針を立てられるようになります。
さらに、医師への定期的な相談はあざに対する不安を軽減するだけでなく、美容面での適切なケアや治療方法の提案を受ける良い機会にもなります。茶あざが気になる方は、ぜひ医療機関での経過観察を続けてみてください。
生まれつきの茶あざを消す方法
茶あざの治療方法にはレーザー治療や削皮術・皮膚凍結療法などがあります。それぞれ詳しく解説します。
レーザー治療
レーザー治療は、茶あざを薄くしたり消したりする場合に良く用いられる一般的な方法です。特に、スイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーなどが使用されることが多く、あざのメラニン色素に反応して除去を目指します。
レーザー治療は、肌にダメージを与えるダメージが少なく、茶あざをピンポイントで照射できる点が特徴です。1回の施術では効果が十分に現れないことが多いため、複数回の施術が必要になります。
治療回数は、あざの濃さや範囲によって異なりますが、3〜5回程度が目安です。
削皮術・皮膚凍結療法
削皮術や皮膚凍結療法は、茶あざを物理的に除去する手術として用いられる場合があります。削皮術は、皮膚の表面を削り取ってメラニンを含むあざを除去する治療法で、広範囲のあざや色が濃い場合に適しています。
皮膚凍結療法は、液体窒素を用いて皮膚を低温で凍結させ、細胞を壊死させる治療法です。皮膚凍結療法はレーザーと同等の高い効果が見込めます。
ただし、削皮術と皮膚凍結療法は施術後に赤みや腫れが出る場合もあるため、事前にリスクの確認が必要です。また、皮膚の再生が進む過程で、一時的に色素沈着や凹凸が生じる場合もあります。
治療はあざの場所や状態によって異なるため、医師と相談のうえで最適な治療法を選びましょう。あざの治療方法については、以下の記事でも詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
「あざを消すレーザーの種類や特徴を専門医が詳しく紹介【症例写真つき】」
生まれつきある茶あざの治療で期待できる効果
生まれつきある茶あざの治療は、あざを薄くすることや目立たなくすることを目的としています。レーザー治療はメラニン色素に働きかけ、あざの色を段階的に薄くする効果に期待できます。治療を繰り返すことで、元の肌色に近づけることも可能です。
削皮術や皮膚凍結療法はあざを物理的に除去するため、治療後にあざが目立たなくなることが多いとされています。手術による除去は皮膚の再生過程で赤みや色素沈着がみられる場合もありますが、時間の経過とともに改善されるのが一般的です。
これらの治療法により、美容的な悩みを軽減し、自信を取り戻す効果に期待できます。ただし、治療の効果は個人差がありあざの種類や濃さ、範囲によって結果が異なる場合もあります。そのため、医師の診断を受けて適切な治療法を選ぶことが重要です。
生まれつきある茶あざの治療にかかる期間やダウンタイムと注意点
ここからは生まれつきある茶あざを治療する際の注意点を、以下の内容で解説します。
- 治療にかかる期間
- 副作用
- ダウンタイム
- 再発しやすい
- 日常の注意点
1つずつ詳しくみていきましょう。
治療にかかる期間
茶あざの治療期間は、あざの濃さや範囲、使用する治療法によって異なります。レーザー治療の場合、1〜2ヶ月間隔で数回にわたって治療を受けるのが一般的です。たとえば、軽度の茶あざであれば3〜5回、広範囲や濃いあざの場合は10回以上の治療が必要になる場合があります。
また、削皮術や皮膚凍結療法では1回の治療で効果が期待できることもありますが、皮膚の再生には時間がかかるため、数ヶ月の経過観察が必要です。治療期間中は定期的な通院が求められるため、スケジュールをたてて治療に挑みましょう。
副作用
茶あざ治療に伴う副作用としては、一時的な赤みや腫れ、色素沈着などが挙げられます。レーザー治療では熱が皮膚に影響を与えるため、治療後数日間はかさぶたや軽い炎症がみられることがあります。
また、削皮術や皮膚凍結療法では、傷跡が残る可能性もあるため注意が必要です。副作用が出た場合は、適切にアフターケアをすることで症状を軽減できます。医師の指示に従い、治療後のケアにも気をつけて過ごすと良いでしょう。
ダウンタイム
茶あざ治療のダウンタイムは、治療方法や個人の皮膚状態によって異なります。レーザー治療の場合は、治療後1週間程度で赤みや腫れが引くのが一般的です。一方、削皮術後は新しい皮膚ができるまでに1〜2週間程度を要します。
ダウンタイム中は紫外線を避けることが重要なため、日焼け止めや帽子、サングラスなどを活用して肌を保護しましょう。また、治療部位に過度な刺激を与えないよう注意が必要です。
再発しやすい
茶あざは治療後も、再発する可能性があります。特に、紫外線や摩擦など外部からの刺激が原因で再びあざが目立ち始める場合もあります。そのため、治療後も日常的なケアを怠らないことが重要です。
再発を防ぐには定期的に医師の診察を受けることや、必要に応じて追加の治療を検討することが推奨されます。医師と相談しながら、再発防止のための適切なケア方法を取り入れましょう。
日常の注意点
茶あざ治療後は、日常生活でのケアが大切です。以下のポイントに注意して過ごしましょう。
- 紫外線対策を徹底する(SPF20程度の日焼け止めを2時間おきに使用)
- 治療部位を清潔に保つ
- 過度な摩擦や刺激を避ける
- 保湿ケアを欠かさない
- 生活習慣に気をつける
これらの注意点を守ることで、治療効果を持続させるだけでなく、肌の健康を保てます。特に、治療直後は肌が敏感な状態のため、慎重なケアを心がけましょう。
生まれつきある茶あざの治療の前に知っておきたいこと
茶あざの治療の前に知っておきたい注意点は以下のとおりです。
- 日焼けしている肌にレーザー治療はできない
- レーザー治療後2週間はプールや湯船に入れない
- 毛が生えている場合は剃っておく
- 診断して適応があればレーザー治療が可能
- 1度の治療で完治しない
茶あざの治療は1度で完了しないため、複数回の通院が必要になり、あざによっては数ヶ月~数年クリニックに通う場合もあります。
また、あざの大きさや深さによって、治療にかかる費用が変動します。クリニックによっては保険適用の有無が異なるため、治療費についても事前に確認しておくと安心です。
生まれつきある茶あざの治療当日に知っておきたいこと
治療当日は、2時間前までに食事を済ませておく必要があります。子どもの食事や授乳も余裕をもって済ませておいてください。2時間以内に食事をした場合は、治療ができない場合もあるため注意が必要です。
また、クリニックによっては滞在時間が数時間と長くなる場合があります。そのため、治療当日はなるべく他の予定を入れないようにしましょう。
まとめ
この記事では、生まれつきある茶あざの原因や種類、治療方法について解説しました。茶あざは遺伝やメラノサイトの働きによるものが多く、成長に伴い拡大や色の濃さが変わる場合があります。
治療方法にはレーザー治療や削皮術などがあり、それぞれの効果やダウンタイムについて理解することが重要です。また、再発リスクや日常生活での注意点を把握し、適切なケアを続けることで治療効果を維持できます。
この記事を参考に、専門医と相談しながら、最適な治療を検討しましょう。
記事監修者プロフィール

院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医