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ADMと他のシミの見分け方を徹底解説!治療方法やリスク・保険適用されるかどうかも紹介

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は他のシミと区別がつきにくい場合もあり、適切な治療を受けるには見極める必要があります。そんなADMについて「そばかすや肝斑との見分け方がわからない」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ADMと他のシミの見分け方について詳しく解説します。また、ADMの治療方法や予防方法、治療のリスクを避けるポイントなどについても併せて紹介します。

この記事を読めば、ADMと他のシミとの違いや最適な治療法などを理解できるので、治療を安心して受けたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

ADMと他のシミとの見分け方

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、一般的なシミと異なる特徴を持つ、皮膚の色素沈着です。ここでは、他のシミとADMをどのように見分けるのかを解説します。

そばかす(雀卵斑)とADMの見分け方

そばかすとADMは色で見分けられますが、同じ場所にできる場合が多いため専門医でないとわかりにくい傾向にあります。

そばかすの色は茶褐色で、幼期から思春期の間にみられ、思春期になるにつれて濃くなる方が多くいます。発生する場所は顔だけでなく手や背中にもみられ、メイクで目立ちにくくすることも可能です。

一方で、ADMの色は青褐色や灰色をしており、皮膚の深い部分に発生するためメイクでは隠しにくくなっているのが特徴です。

肝斑とADMの見分け方

ADMが青褐色や灰色なのに対して、肝斑は褐色です。発生する箇所はADMが頬や小鼻、目の下なのに対して肝斑は頬や額、口の周りとなっています。色は異なりますが、頬に現れた場合、見分けるのは困難です。

さらに、治療方法がそれぞれ異なるため、診断を誤るとシミが悪化する恐れもあります。受診する際は、専門医から適切な診察を受けるようにしましょう。

肝斑の発生は主にホルモンバランスの乱れやストレス、外部刺激などが原因で30代以降に現れますが、20代で出る場合もあります。なお、肝斑の治療は飲み薬や塗り薬を用いるのが一般的ですが、ADMはレーザーでの治療が必要です。

老人性色素斑とADMの見分け方

老人性色素斑とADMは色で見分けられ、老人性色素斑は茶褐色が黒っぽい色で輪郭がはっきりしている点が特徴です。

現れるのは30代以降が多く、シミとして顔や手などさまざまな箇所にみられます。原因のほとんどは紫外線ですが、遺伝や体質などによる場合もあり、若年層で発症する場合もあります。

ADMと色で判別できますが、同じ場所に混在する場合もあるため、見極める際は注意が必要です。治療する際は、経験のある専門医に判断してもらいましょう。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、皮膚の深部にメラニン色素が沈着して起こるシミの1種です。他のシミとは見た目の特徴や発生する原因が異なるため、適切に理解し、専門的な治療を受ける必要があります。

ここからは、ADMについて詳しく解説します。

ADMの特徴と症状

ADMは灰褐色から青灰色のくすんだ色調を持つ点が特徴で、目の下や頬骨のあたりに左右対称に現れます。後天的に現れる症状で、発症は20代以降がほとんどですが、10代で現れる場合もあります。

発生するのは真皮層のため、紫外線によって色が濃くなることはありません。また、ADMは肝斑やそばかすと混同されやすいですが、真皮層のメラニンに沈着するため、専門的な治療が求められます。

ADMはメイクで隠しにくく、適切な治療を受けないと長期間残る可能性があるため、気になる方は早めに診察を受けましょう。

ADMが発生する原因

ADMの原因は完全に解明されていませんが、ホルモンバランスの乱れや遺伝的な要因が関与していると考えられています。特に、女性は妊娠やピルの使用などでホルモン変動が起こるため、発症リスクが高くなりがちです。

また、紫外線が発症の直接的な要因ではないものの、刺激を受ける場合もあります。加えて、ストレスや生活習慣の乱れが発症を助長する場合もあるため、注意が必要です。

ADMは自然に治る症状ではありませんが、悪化させないためにも生活習慣に気をつけましょう

ADMができやすい人の特徴

ADMが発症しやすい人は、以下のような特徴があります。

  • 肌の色が黒い
  • 肝斑がある
  • 皮膚をよくこする

ADMは上記の他にもアジア人に多くみられ、中でも東アジアである日本や韓国などに多い傾向にあります。全人種にみられるわけではないため、遺伝性があるといえるでしょう。

さらに、ホルモンバランスの変化も影響を与えるため、妊娠中や経口避妊薬を使用している方は注意が必要です。

ADMのシミを治療する方法

ADMは皮膚の真皮層にメラニン色素が沈着してできるため、一般的なスキンケアによる改善は難しいとされています。そのため、医師による専門的な治療が必要です。ここでは、代表的な治療方法について詳しく紹介します。

レーザー治療

ADMにおいて最も効果的とされるシミの治療方法はレーザー治療で、真皮層に届く波長のQスイッチルビーレーザーが用いられています。レーザーを用いた治療により、皮膚の深部に蓄積されたメラニンを破壊し、肌の色むらの改善が可能です。

レーザー治療は一度で結果がでない場合もありますが、数回の施術を重ねることで症状の軽減に期待できます。

ただし、施術後は一時的に色が濃くみえることがあるため、ダウンタイムや紫外線対策について把握しておくことが重要です。また、治療の進行具合によっては、追加の施術が必要になる場合もあります。

ADMと肝斑が混在する場合の治療

ADMと肝斑が同じ箇所に存在する場合、治療には慎重な判断が必要で、同時に治療することは通常だと禁忌となっています。しかし、Qスイッチルビーレーザーのモードを適切に切り替えることで、それぞれに有効な治療が可能です。

Qスイッチと短パルスを切り替えると、真皮の下のシミだけでなく、表面のシミやほくろも除去できます。

ただし、ADMと肝斑が混在する場合の治療は、実績と経験が豊富な医師選びがとても重要となります。経験の浅い医師が担当すると、シミとの見分けがつかずにかえって悪化する可能性もあるため注意が必要です。

ADMと肝斑が同じ場所に混在している方は特に、事前の医師やクリニック選びは慎重にしましょう。

ADM治療の保険適用の可否について

ADMはシミですが、あざに分類しているクリニックも多いため、保険が適応される傾向にあります。ただし、保険の適用をレーザー治療の回数によって制限しているクリニックもあり、5回以降は適用されない場合もあることから注意が必要です。

クリニックによってはADMの治療を美容目的と判断し、保険適用外にしている場合もあります。このように、受診するクリニックによって異なるため、実際の可否は事前に確認しておきましょう。

ADM治療のリスクと対処方法

ADMの治療は高い効果が期待できる一方で、リスクや副作用が発生する可能性もあります。ここでは、代表的なリスクと対処方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。

レーザーでシミが濃くなった

ADMのレーザー治療は、施術後一時的にシミが濃くみえることがあります。これは、炎症後の色素沈着と呼ばれる症状で、治療過程の一部として発生する場合がほとんどです。

色素沈着は通常、数ヶ月から半年程度で自然に薄くなりますが、同時に適切なスキンケアや紫外線対策も必要となります。治療後は美白成分を含むスキンケア製品の使用や、日焼け止めを徹底しましょう。

また、色素沈着が長期間改善しない場合は、医師に相談し追加の治療や内服薬の検討なども必要となる可能性があります。

炎症が残った

レーザー治療後は、赤みや腫れといった炎症が長引くこともあります。炎症は肌の回復過程で発生する正常な反応ですが、場合によっては施術が不適切だったり、アフターケアが不十分だったりすることが原因の場合もあります。

炎症を軽減するには施術後に肌を冷却し、鎮静効果のあるスキンケアが必要です。また、施術後数日間は刺激の強い化粧品を避けることが推奨されています。それでも炎症が改善しない場合や悪化した場合は、早めに医師へ相談してみましょう。

消えなかった

レーザー治療を受けてもADMが完全に消えない場合は、メラニン色素が真皮層に深く沈着しており治療が不十分だった可能性もあります。この場合、レーザーの出力を上げるか、適切なレーザーに変更する必要があります。

再治療の場合は治療回数や間隔を調整し、医師と相談しながら進めることが重要です。ADMの治療は、1度で結果が出ない点を念頭に入れておきましょう

ADM治療のリスクを避ける方法

ADM治療をする際は、治療によるリスクを最小限に抑えるための注意点を事前に知っておく必要があります。ここで紹介する内容を参考にして、リスクを少しでも減らしましょう。

信頼できるクリニックを選ぶ

ADM治療を成功させるには、信頼できるクリニックを選ぶことが最も重要です。治療実績が豊富なクリニックでは、経験豊富な医師が最新の設備を使用して施術しているため、リスクを大幅に軽減できます

クリニックの評判や口コミを確認し、他の患者の体験談を参考にするのも効果的です。さらに、クリニックが保有している設備や使用するレーザー機器の種類も調べて、効果があるか確認しておくと良いでしょう。

最新の機器を使用しているクリニックは、より正確で安全な治療ができる可能性も高いため機器の種類も選択の基準に加えるのがおすすめです。

カウンセリングをしっかり受ける

治療によるリスクを回避するためにも、治療前のカウンセリングは欠かせません。信頼できる医師によるカウンセリングでは、肌の状態やADMの症状を正しく診断し、最適な治療方法を提案してもらえます

また、カウンセリングが充実しているクリニックでは治療の流れや予想される結果、リスクや副作用についても詳細に説明してもらえるため、治療前の不安も軽減できるでしょう。疑問点や不安な点があれば遠慮せずに質問して、納得のいく説明を受ける必要があります。

クリニックを選ぶ際もカウンセリングが充実しているか、確認しておきましょう。

ADMが発生しないように対策する

ADMの発生リスクを抑えるには、日常的なスキンケアや生活習慣の見直しも重要です。特に、徹底した紫外線対策は、ADMの予防において欠かせません。日焼け止めをこまめに塗り直したり、帽子や日傘を使用したりして紫外線を避ける工夫をしましょう。

また、肌への負担を減らすために刺激の少ないスキンケア製品を選び、摩擦を避けることも重要です。生活習慣も見直して、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけましょう。

ADMを予防する方法

ADMを予防するには、日々の生活の中で適切なケアを取り入れる必要があります。紫外線対策やスキンケア、健康的な生活習慣の見直しを徹底することで、ADMのリスクを軽減できるでしょう。

ここからは、ADMの予防方法について詳しく解説します。

ADM特有の紫外線対策

紫外線はADMの発生や悪化の要因となるため、紫外線対策を徹底する必要があります。外出時には、SPF50+の高機能日焼け止めを使用し、こまめに塗り直すと良いでしょう。帽子やサングラス、日傘を活用して肌を紫外線から守るのも効果的です。

紫外線量が増加する時間帯(午前10時〜午後2時)の外出を避けることも、肌への負担を軽減するのに役立ちます。

毎日のスキンケアで予防

ADMを防ぐために肌を清潔に保つことはもちろん、保湿を徹底して肌のバリア機能を強化するのも予防に役立ちます。ビタミンC誘導体やナイアシンアミドを含む美容液を使用することで、メラニンの生成を抑える効果が期待できます。

さらに、刺激の少ない洗顔料や化粧品選びをして、肌への負担を最小限に抑えることも大切です。

生活習慣を見直す

健康的な生活習慣を維持することも、ADMの予防につながります。十分な睡眠を確保し、ストレスを軽減することでホルモンバランスを整えましょう。また、バランスの取れた食生活を心がけ、ビタミンやミネラルを積極的に摂取することも推奨されています。

加えて、喫煙や過度の飲酒は肌に悪影響を及ぼすため、注意が必要です。

まとめ

この記事では、ADMと他のシミの見分け方について解説しました。ADMは他のシミと混在して発生する場合が多く区別しにくいため、専門医の正しい判断が必要です。

治療方法はレーザー治療が中心ですが、一度では効果が現れない傾向にあるため、数回に分けて施術します。施術後はスキンケアや紫外線対策も取り入れることが重要です。

ADM治療のリスクを避ける方法や予防策を取り入れることで、安心して治療に取り組めます。この記事を参考に、自分に合った治療方法を見つけ、シミのない健やかな肌を取り戻しましょう。

記事監修者プロフィール

院長 杉本 貴子

院長杉本 貴子

Sugimoto Atsuko

経歴
  • お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
  • 獨協医科大学 卒業
  • 国立国際医療研究センター 初期研修
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
  • 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長

【関連病院】

  • 東京美容医療クリニック
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
資格
  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
  • 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
  • アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
  • クールスカルプティング 認定医
こどものアザは保険適用で治療できます。

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