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コラム

子どもの毛細血管拡張の原因について、専門医が解説

子どもの肌に赤い斑点や線が現れ、心配になったことはありませんか?

これらの症状は、毛細血管拡張症という状態を示している可能性があります。

毛細血管拡張症は、皮膚表面に赤い斑点や線が現れる症状で、大人だけでなく子どもにも発症することがあります。

本記事では、子どもの毛細血管拡張症について、その原因から治療法までを詳しく解説します。

もし、お困りの際には一度皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷までご相談ください。

毛細血管拡張症とは

毛細血管拡張症は、皮膚の表面近くにある毛細血管が異常に拡張して目に見えるようになった状態を指します。

通常、毛細血管は肉眼では見えないほど細いものですが、何らかの原因で拡張すると、皮膚表面に赤い斑点や線として現れます。

子どもの場合、大人よりも皮膚が薄いため、毛細血管拡張症がより目立つことがあります。

また、子どもの肌は敏感で外部刺激の影響を受けやすいため、毛細血管拡張症が発症しやすい傾向にあります。

毛細血管拡張症は、多くの場合、健康上の深刻な問題を示すものではありません。

しかし、その見た目が気になったり、まれに他の健康問題の兆候であったりすることもあるため、適切な理解と対応が必要です。

子どもの毛細血管拡張症の原因

子どもの毛細血管拡張症には、様々な原因が考えられます。

主な原因を以下に詳しく説明します。

遺伝的要因

一部の毛細血管拡張症は遺伝性疾患の一症状として現れることがあります。

例えば、遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)は、毛細血管拡張症を引き起こす遺伝性疾患の一つです。

この病気では、皮膚や粘膜に特徴的な毛細血管拡張が見られます。

また、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群という遺伝性疾患でも、赤あざが症状の一つとして現れることがあります。

これらの遺伝性疾患は比較的まれですが、家族歴がある場合は注意が必要です。

環境要因

環境要因も子どもの毛細血管拡張症の原因となることがあります。

特に重要なのは紫外線露出です。子どもの肌は大人よりも敏感で、紫外線のダメージを受けやすいため、過度の日光浴が毛細血管拡張症を引き起こす可能性があります。

また、極端な温度変化も毛細血管に影響を与える可能性があります。急激な寒暖の差にさらされることで、毛細血管が拡張し、皮膚表面に現れることがあります。

その他の関連する健康状態

まれではありますが、毛細血管拡張症が他の健康問題の症状として現れることもあります。

例えば、肝臓疾患や自己免疫疾患などが関連していることがあります。

肝臓疾患の場合、肝機能の低下により血管系に異常が生じ、それが皮膚表面の毛細血管拡張として現れることがあります。

自己免疫疾患の中には、血管に影響を与えるものがあり、それが毛細血管拡張症の原因となる可能性があります。

毛細血管拡張症と共に他の症状が見られる場合は、医師に相談することが重要です。

子どもの毛細血管拡張症の症状

毛細血管拡張症の主な症状は、皮膚の変化です。具体的には以下のような症状が見られます。

まず、最も一般的な症状は、皮膚に赤い斑点や線が現れることです。

これらは通常、直径1〜3ミリメートル程度の小さな点や、細い線として現れます。

色は明るい赤色から濃い赤色まで様々で、皮膚の表面がわずかに隆起していることもあります。

また、皮膚の一部が全体的に赤くなることもあります。

これは、その部分の毛細血管が広範囲に拡張している状態を示しています。

この症状は特に頬や鼻、あごなどの顔面に現れやすいですが、体の他の部分にも現れる可能性があります。

多くの場合、これらの症状は痛みや痒みを伴いませんが、まれに軽度の不快感や痒みを感じることがあります。

特に、症状が現れている部分が擦れたり圧迫されたりすると、一時的に痛みや不快感を感じる可能性があります。

毛細血管拡張症の症状は、時間とともに変化する可能性があります。

例えば、寒い環境に身を置いたり、運動をしたりすると、症状が一時的に悪化することがあります。

これは、温度変化や血流の増加が毛細血管に影響を与えるためです。

また、子どもの成長に伴い、症状が自然に改善することもあれば、逆に悪化することもあります。

このため、定期的に症状の経過を観察し、必要に応じて医師に相談することが重要です。

診断方法

毛細血管拡張症の診断は、主に視診によって行われます。

医師が皮膚の状態を詳しく観察し、症状の特徴や分布、色などを確認します。

多くの場合、この視診だけで診断を下すことができます。

しかし、症状の原因や重症度を詳しく調べるために、追加の検査が必要になることもあります。

例えば、皮膚生検を行うことがあります。

これは、症状のある部分の皮膚を小さく切り取り、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

この検査により、毛細血管の状態や他の皮膚の異常の有無を確認することができます。

また、毛細血管拡張症が他の健康問題の症状である可能性を排除するために、血液検査を行うこともあります。

血液検査では、肝機能や免疫系の状態、血液凝固因子などを調べることができます。

さらに、症状の範囲や深さを詳しく調べるために、皮膚超音波検査ダーモスコピー(皮膚拡大鏡による観察)などの非侵襲的な検査を行うこともあります。

これらの診断方法を組み合わせることで、医師は毛細血管拡張症の正確な診断を行い、適切な治療法を選択することができます。

治療方法

毛細血管拡張症の治療方法として、最も効果的で一般的に用いられているのがレーザー治療です。

中でも、ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】と呼ばれる特殊なレーザー治療が高い効果を示しています。

実際、ヤン・ルオ、X・ルアン、ジャン・ホン・チャン氏の“Improved telangiectasia and reduced recurrence rate of rosacea after treatment with 540 nm‑wavelength intense pulsed light: A prospective randomized controlled trial with a 2‑year follow‑up”( March 20, 2020 https://doi.org/10.3892/etm.2020.8617)では、レーザー治療した群とそうでない治療群との比較検証の結果、消失率、再発率ともにレーザー利用が有効であると示しています。

After 33 patients were lost during follow‑up, the IPL and control groups were comprised of 107 and 120 patients for the final analysis, respectively. The rates of effective treatment and total efficacy in the IPL group (66.36 and 95.33%, respectively) were found to be significantly higher compared with those of the control group (0 and 30.83%, respectively). By contrast, the rates of recurrence were found to be lower in the IPL group (8.41%) compared with the control group (48.33%). Redness‑to‑blisters associated with IPL treatment (9.7% of analyzed patients) subsided within one week and hyperpigmentation (1.9%) within 3 months. To conclude, treatment with 540 nm‑IPL improved facial telangiectasia in late‑stage rosacea that remained after sequential anti‑mite therapy and effectively reduced the recurrence of rosacea.

ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】は、血管に特異的に作用するため、周囲の健康な皮膚へのダメージを最小限に抑えつつ、拡張した毛細血管を選択的に治療することができます。

この特性により、子どもの敏感な肌にも比較的安全に使用することができるのです。

治療の過程は通常、一定のスケジュールで進められます。

まず初回診察で症状の程度を確認し、治療計画を立てます。その後、約3ヶ月おきにレーザー治療を実施し、各治療の約1週間後にフォローアップとして経過をチェックします。

この過程を約5回程度繰り返すことで、多くの場合、顕著な改善が見られます。

ただし、症状の程度や個人差によっては、さらに追加の治療が必要となることもあります。

レーザー治療は比較的短時間で終わり、痛みも最小限に抑えられるため、子どもにも受け入れやすい治療法です。

ただし、治療後は一時的に皮膚が赤くなったり、軽い腫れが生じたりすることがありますので、適切なアフターケアが重要です。

治療の効果は徐々に現れ、回を重ねるごとに症状が改善していくのが特徴です。

当院のInstagramの投稿では、実際の治療経過を視覚的に確認することができます。

毛細血管拡張症を放置した場合

毛細血管拡張症を放置すると、症状が徐々に悪化する可能性が高くなります。

初期段階では、皮膚にぽわっとした赤みが見られる程度かもしれません。しかし、時間の経過とともにこの症状は進行し、より顕著になっていきます。

放置を続けると、最終的には赤いイトミミズのような外観を呈するようになることがあります。

この状態では、個々の拡張した血管が肉眼でも明確に識別できるほど太くなり、皮膚表面に浮き出た状態になります。

このような進行した状態になると、治療がより困難になり、完全な改善を得るためにはより多くの時間と労力が必要となります。

具体的には、治療回数が増加したり、より強力なレーザー設定が必要となったりする可能性があります。

さらに、進行した状態では、完全に元の状態に戻すことが難しくなる場合もあります。

したがって、毛細血管拡張症の症状に気づいたら、できるだけ早期に専門医の診察を受けることが重要です。

早期発見・早期治療により、より効果的かつ効率的に症状を改善することができ、子どもの肌の健康を長期的に保つことができます。

おわりに

毛細血管拡張症は、子どもの肌に現れる可能性のある症状の一つです。

本記事で解説したように、毛細血管拡張症の症状は様々な原因で発生し、放置すると悪化する可能性があります

しかし、早期発見と適切な治療により、効果的に改善することができます。
お子様の肌に赤い斑点や線が現れた場合、まずは落ち着いて状況を観察しましょう。

症状が持続したり、拡大したりする場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。

特に、ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】などの最新の治療法は、子どもの敏感な肌にも安全に適用でき、高い効果が期待できます

皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷では、毛細血管拡張症を含む様々な皮膚症状に対して、豊富な経験と最新の医療技術を駆使した診療を行っています。

お子様の症状や治療法について不安や疑問がある場合は、ぜひ当クリニックにご相談ください。

記事監修者プロフィール

院長 杉本 貴子

院長杉本 貴子

Sugimoto Atsuko

経歴
  • お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
  • 獨協医科大学 卒業
  • 国立国際医療研究センター 初期研修
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
  • 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長

【関連病院】

  • 東京美容医療クリニック
  • 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
資格
  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
  • 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
  • アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
  • クールスカルプティング 認定医
こどものアザは保険適用で治療できます。

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