赤ちゃんの赤あざが気になる!血管腫について知っておくべきこと
赤ちゃんの赤あざについて、
「生まれつきのあざはキレイに治るの」
「自然に消えることはあるの」
と、ご家族が不安に思われてよくご来院されます。
この記事は赤ちゃんの赤あざについて、種類や治療法について解説しています。
赤あざについて不明な点がある方は、皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷にご相談ください。
記事監修者プロフィール
院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
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- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
- クールスカルプティング 認定医
赤ちゃんの血管腫とは何か?
血管腫とは「赤あざ(血管奇形)」と呼ばれる血管の異常で、血管が拡張や増殖することによってできる良性腫瘍のことです。
血管腫は単純性血管腫「血管奇形(vascular malformation;VM)」と乳児血管腫(=いちご状血管腫)「血管腫(hemangioma)」に分けられます。
血管奇形は血管内皮細胞の増殖を伴わない形成異常によるもので、自然消退しません。
血管奇形の中の代表的な疾患である「単純性血管腫」と、血管腫の代表的な疾患である「いちご状血管腫」について説明します。
単純性血管腫
生まれつきの平坦な赤いあざです。
大人になっても自然に消えることがありません。
単純性血管腫の種類は下記の3種類です。
- サーモンパッチ
- ウンナ母斑
- ポートワイン母斑
年齢が上がるにつれて、色が濃くなったり腫瘤(しゅりゅう)を作ったりする場合もあります。
また、成長とともに体が大きくなるのに比例してあざの面積も拡大します。
治療は副作用の少ないレーザー治療が主流になっています。
特に顔にある血管腫の場合、合併症を伴う検査のためにCTやMRIなどが必要となります。
いちご状血管腫
生まれて数日〜数週間後から徐々に出現する、皮膚から盛り上がるタイプの赤あざです。
乳児血管腫と呼ばれて、出現後は数カ月かけて急に大きくなるのが特徴です。
いちご状血管腫は生後5カ月までに完成形の80%の大きさまで大きくなります。
いちご状血管腫になった75%は7歳ごろまでに自然消退すると言われています。
治療せず放置すると皮膚のたるみや赤みが残る可能性があるため、大きくなる前の治療をおすすめしています。
血管腫の定義と種類
血管腫とは本来幅広く伸びていくはずの血管が変化し、異常な塊を作ってしまう病気です。
小児期に発症する先天性の血管腫(血管性腫瘍)を除いて、それらのほとんどは腫瘍ではなく血管の発生異常が原因です。
血管奇形は血流の速いものと遅いものとに分類され、以下のように分類ができます。
-
血流の速いもの
- 動静脈奇形
-
血流の遅いもの
- 静脈奇形
- 毛細血管奇形
- リンパ管奇形
奇形が混在した例もありますので、この分類は治療を選択するうえで重要です。
血管腫の原因と発症割合
単純性血管腫の原因は明らかになっていません。
単純性血管腫は、皮膚の奥深くで細い血管が通常よりも多く発生している状態です。
その原因はまだ完全には解明されていませんが、体内で血管が形成される過程で何らかの異常が起きて発症すると考えられています。
生まれた時から症状がある場合や、家族内で複数の人に見られる場合があることから、遺伝的な要因があるのではないかという推測もあります。
しかし、これはまだ研究段階の仮説にすぎません。現時点では、遺伝が原因であるという医学的な証拠は見つかっていません。
Douglas A. Marchuk氏の「Pathogenesis of hemangioma」によると、「血管腫の内皮細胞の異常増殖には成長因子やホルモン、機械的影響が関与している」と考えられています。
「血管新生における主な原因となる欠陥は不明であり、遺伝子変異が関与している可能性も指摘されてない」という点の指摘に留まっております。
Hemangioma is the most common tumor of any kind seen in infancy. It is also, perhaps, the least understood. This stems in part from a long history of confusing nomenclature for vascular anomalies that employed classification schemes based on superficial descriptions of the lesions. The first major step toward clarifying this nomenclatural morass was made by Mulliken and colleagues (1, 2), who employed a biological classification scheme based on the differing clinical courses and endothelial proliferative activity of hemangiomas versus malformations. Hemangiomas, often called infantile or juvenile hemangiomas for clarity, are benign tumors that exhibit an early and rapid proliferation phase during the first year of life characterized by endothelial and pericytic hyperplasia, followed by a slower but steady involution phase that may last for years. This basic scheme of histopathological classification has been refined by immunohistochemical characterization of hemangioma in each of the phases (3). Nonetheless, the pathogenesis of hemangioma is still not understood. Although growth factors and hormonal and mechanical influences have been postulated to affect the abnormal proliferation of endothelial cells in hemangioma, the primary, causative defect in hemangiogenesis remains unknown and no genetic alteration has been implicated.
そして、単純性血管腫を発症する割合は0.3%です。性別に関係なく1000人に3人の割合で発症します。
赤ちゃんに見られる血管腫の症状
以前は「血管腫」、近年は「血管奇形」と呼ばれ、医師のなかでも統一されていないのが現状です。
血管を形作っている血管内皮細胞の増殖があるものを「血管腫」、血管内皮細胞の増殖がなく血管が異常に集合しているものを「血管奇形」としています。
赤ちゃんに多い赤あざは
- 毛細血管奇形(単純性血管腫)
- 乳児血管腫(いちご状血管腫)
- 毛細血管拡張症
毛細血管拡張症は皮膚から赤い血管の筋が透けて見える症状です。
頬や鼻に出やすく、症状により4つに分類されます。
- 単純型・線状型
- クモ状型
- 丘疹型
- 紅斑型
毛細血管が拡張した状態なので自然に消えることはありません。
積極的にレーザー治療を行います。
赤ちゃんの血管腫の治療法
赤あざの治療は「ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】」というレーザーを使って治療を行っていきます。
いちご状血管腫は成長とともに消失する可能性がありますが、目立つ部位、機能に影響する部位(目の周りなど)、隆起が強い部位、機能に影響する部位(目の周りなど)にはダイレーザー【Vbeam Ⅱ】を使って治療を行っていきます。
単純血管腫の治療方法はできる部位によって変わります。
単純血管腫(サーモンパッチ・ウンナ母斑)の治療法
レーザー治療をおすすめしています。
0歳から治療を行った方が痛みなどの記憶が残らないため、幼いうちから治療を始めると良いでしょう。
ウンナ母斑はあざが髪の毛で隠れれば目立たないため、治療しないこともあります。
一方で髪が短いと目立つこともあり、治療する場合もあります。
単純血管腫のポートワイン母斑の治療法
0歳からレーザー治療をおすすめしています。
成長とともに赤あざが大きくなるので、できるだけ小さいうちから治療を行うことをおすすめします。
乳児血管腫(いちご状血管腫)の治療法
いちご状血管腫が拡大する生後5ヶ月頃までは、2週間〜1ヶ月に一度の割合で色素レーザー(ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】)を照射します。
その後は1〜3ヶ月に一度の頻度で色素レーザーを照射します。
目の周囲など機能に影響する部位、あざが大きい、数が多い場合などは飲み薬(ヘマンジオールシロップ®)を併用します。
レーザー治療の効果と幼少時に治療する有効性
単純性血管腫には、パルス色素レーザーである「ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】」を使用します。
ダイレーザー【Vbeam Ⅱ】は、赤い色素に反応するレーザーです。
血液中のヘモグロビンに反応し、熱が血管の壁を伝わることで血管を縮ませたり破壊します。
単純性血管腫のレーザー治療も0歳から開始しましょう。
赤ちゃんの肌は代謝がよく適応力があるので、ダウンタイム中に生じる紫斑や内出血も比較的スムーズに解消されていきます。
成長後もレーザー治療で目立たなくすることは可能です。
しかし、年齢を重ねると赤あざの範囲が拡大していたり、濃くなっていたり、デコボコが出現する可能性があるため、治療回数が多くなる傾向にあります。
レーザー治療の副作用・注意点
通常、レーザー治療においてドクターは副作用が起こらないよう万全の体制で治療にあたりますが、反応には個人差が起こることもあります。
一般的に副作用と言われているものは以下のものがあります。
- 一時的に色が濃くなる色素沈着
- 一時的に色が薄くなる色素脱失
- 一時的に肌が湿潤化する潰瘍
- 傷跡となる瘢痕
かさぶたや水疱のリスクはゼロにはできません。
これらが起きてしまった場合にも2週間程度で治りますが、そのあとに瘢痕(はんこん)と言う傷跡がのこる可能性があります。
赤あざが心配な時は「皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷」へ
赤あざの治療は、赤ちゃんのうちに始めることで大きな利点があります。
若い肌は回復力が高く、治療への反応も良好なため、患部の回復スピードが格段に速くなります。
また、早期治療によりお子さまの成長に伴うあざの拡大や濃くなるリスクを軽減できる可能性があります。
多くの親御さんが、赤ちゃんのあざについて様々な不安を抱えていらっしゃいます。
「皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷」では、親御さんの不安に寄り添い、一つ一つ丁寧にお答えしています。当クリニックは、赤ちゃんや子どものあざの治療に特化した専門施設です。最新の治療法と豊富な経験を持つ医師がご家族の生活スタイルを考慮しながら、お子さま一人一人に最適な治療プランをご提案いたします。
ご予約やお問い合わせは、お電話またはウェブサイトから24時間受け付けております。
ご来院を、スタッフ一同心よりお待ちしております。
記事監修者プロフィール
院長杉本 貴子
Sugimoto Atsuko
- 経歴
-
- お茶の水女子大学附属高等学校 卒業
- 獨協医科大学 卒業
- 国立国際医療研究センター 初期研修
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 助教
- 皮ふと子どものあざクリニック茗荷谷 院長
【関連病院】
- 東京美容医療クリニック
- 日本医科大学付属病院 形成外科・再建外科・美容外科 非常勤講師
- 資格
-
- 医学博士
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本形成外科学会レーザー 分野指導医
- 日本抗加齢医学会 学会認定専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- GSK社 重度腋窩多汗症ボトックス 認定医
- アラガン社 ボトックス・ヒアルロン酸 認定医
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