Bruise
いちご状血管腫

いちご状血管腫とは何ですか?
いちごのような赤あざができる乳幼児の腫瘍です。未熟な毛細血管の壁を作る細胞が増殖して発症します。女の子に多く発症するとされています。日本人の発症頻度は0.8~1.7%で、珍しい病気ではありません。赤みはいずれ薄くなりますが痕が残ることがあります。早期に適切な治療を行うことで瘢痕化のリスクを軽減させることができます。
すぐにでも受診していただきたい目安
ひとつでも当てはまる場合は、すぐに受診し、医師の判断をあおぐ必要があります。
まずはかかりつけ医に相談してください。
・乳児血管腫の表面がただれている、または出血がある
・目や鼻の近くに乳児血管腫と思われるものがある
・唇、口の周辺、口の中に乳児血管腫と思われるものがある
・乳児血管腫と思われるものが5ヵ所以上ある
・乳児血管腫と思われるものがここ数日で急激に大きくなった
・乳児血管腫かどうか分からないが皮膚の下が盛り上がっている
・イラストの部位に乳児血管腫と思われるものがある
・生後6ヶ月以内である
・脇の下、肛門など摩擦がある部位
・首の前にある

いちご状血管腫はナゼなるのか?
いちご状血管腫は自然に消えることはなく、大人になると色が濃く、皮膚が分厚くなりぼこぼこと腫瘤ができることがあるため、赤ちゃんのうちから治療を開始します。

いちご状血管腫の治療方法は?
いちご状血管腫の多くは自然消滅するのですが、色素沈着やたるみが残る可能性があります。気にならない部位にある、または小さい場合には経過観察をお勧めすることもあります。目の周りなどの機能に障害が出る可能性がある部位、脇の下・陰部など擦れやすい部位、出血や合併症を併発した場合、目立つ部位など治療を希望される場合に治療を行います。レーザー治療は皮下型にはあまり効果がありません。
2016年に国内で乳児血管腫に保険適用とされたプロプラノロール(ヘマンジオルシロップⓇ:マルホ株式会社)が発売され、その効果と副作用の少なさから広く使用されるようになりました。一方で循環器系に作用する薬ですので投与は慎重に行う必要があり、投与開始時や増量時などには循環器系などの精査とモニタリングが必要とされます。
色素レーザー(Vビーム)を照射
いちご状血管腫が拡大する生後5ヶ月頃までは、約1ヶ月に一度の頻度で色素レーザー(Vビーム)を照射します。その後は3ヶ月に一度の頻度で色素レーザーを照射します。
いちご状血管腫専用のβ遮断薬シロップ(ヘマンジオルシロップ)
広範囲や盛り上がりが高い場合、目の周囲など機能に影響する部位、数が多い場合などは飲み薬を併用します。β遮断薬(βブロッカー)であり、主成分はプロプラノロール塩酸塩です。1960年頃から高血圧症や不整脈の治療薬として広く使われています。血管腫の増殖抑制や血管腫が小さくなるのを速める効果が期待できるとして2016年7月に厚生労働省により承認され、日本でもいちご状血管腫の治療に使われています。
いちご状血管腫の治療中に注意することはありますか?
レーザー治療の場合
- 色素レーザー照射によって血管が壊れるため、内出血(紫斑)が起こります。2週間ほどで改善します。
- 熱を加えるため、赤く炎症が起こったり、水ぶくれなど軽いやけどのような症状が出現する可能性があります。
- 炎症後の色素沈着が起こり、しばらく茶色く色がつくことがあります。半年以上かけて徐々に元に戻ります。ただし日焼けをすると長期化します。
- 色素脱失、瘢痕形成などの合併症が起こる可能性もあります。
- 副作用が落ち着かないまま次の色素レーザー治療をすると、炎症後色素沈着が悪化したり効果が出にくくなります。
- 施術後は軟膏治療や紫外線ケアを行います。医師の指示に従ってください。
ヘマンジオルシロップの場合
- 普段の生活でいつもと違う様子がありましたら、すぐに医療機関を受診してください。
- 薬剤は正しく保管して、医師の指示を守って服用してください。
- 低血糖、心拍数低下、低血圧などの重篤な副作用を起こす可能性があります。
- 気管や気管支を狭くする作用もあるため、気管支喘息の悪化、呼吸困難などを起こす可能性があります。
- その他、下痢、不機嫌、睡眠障害、嘔吐などを起こすことがあります。
- 治療期間が短いと再発することがあります。自己判断で治療を中断せず、定期的に受診してチェックを受けてください。
- 定期的に受診して慎重に状態を確認することが不可欠です。